先にも書いたが、夢を実現させるためには、"手段と時間とお金"が必要だ。その"手段"として選んだヨットに、着実に歩を進めた澤さん。ヨットの知識を高め(子供たちのヨットスクール)、ヨットを操る術を身につけ(友人の会社の社長さんのヨットクルー)、そして晴れてヨットオーナーにもなれた。しかしフェリシア号は6人共同の船。奥さんとふたりだけで長期間旅に出るわけにも行かないし、そもそも外洋を航海するには少々スペック不足だ。やはり自分だけの船を手に入れなければならない。 それにはお金が必要だ。そして時間。その旅は"いつの時点でやるのか"によって、人生設計や変わってくる。50歳を間近にした澤さんの中で、手段としての自分のヨットを購入するお金と、旅に出る時間を、現実的なレベルで同時進行で考えるときがやってきた。 当たり前のことだけれど、世界をじっくり旅さえできれば良い、というわけにはいかない。一生放浪するわけじゃないから、旅から戻った後にだって生活していかなければならない。もてる全てを注ぎ込んで実行したならば、"その先"が無くなってしまう。 そこで澤さんは、大胆な計画を立てた。 "早期退職して55歳から60歳までの5年間を旅する"(「"時間とお金"を得るための人生設計」 すべての準備を整え、澤さん夫婦はついにヨットで世界中を巡る旅に出航した。1999年5月30日、澤さん56歳、和代さん53歳のときである。外洋航海といえば出発間近の5月連休に大阪まで往復したことくらい。不安がないわけではなかったが、夢の方が大きかった。澤さんいわく「どちらかというと、"行き当たりばったり"だね」。 面白いことに、しっかり人生設計を立て、目標に向かって計画的にアプローチしてきた澤さんだが、この世界一周の旅に関しては、意外や無計画。しっかりとした航海プランを立てていたわけでもない。