色で選ぶ万年筆インク!
INK 万年筆インクを楽しむ本
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2016.08.22
世の中のあらゆるものがデジタル化しつつある今、かたくなにアナログなシステム手帳を使い続ける人たちがいる。『趣味の文具箱』の編集長・清水茂樹もそのひとり。「こんな便利なもの、なんで使わないの?」と言う彼は、使用歴28年、所有数30冊超の生粋のシステム手帳派だ。
なぜ、この時代にもツールとしてシステム手帳を使いつづけるのか?……清水に自身の愛用品とともに、時代が変わっても通じるそのツールとしての利便性について聞いた。
社会人1年目に買ったバインデックス以来、システム手帳は雑誌編集者である清水の仕事全てに欠かせないものとなっている。取材の申し込みから始まり、出張の計画などから、雑多な情報を集め、記録し、フィルターをかけて1冊に作り上げるまで、雑誌作りの仕事はシステム手帳の仕組みと、とても相性が良いのだという。
「手帳は慌ただしい毎日を確実に生きるための道具。必要な物、大切な物を盛り付ける『人生の器』です。その器は行動を促す道具として美しく、使いやすい物を選びたい。それを満たすのは、自分にとってシステム手帳以外にありません」
バインダーだけでなく、中身にあたるリフィル類で自由にカスタムできるシステム手帳は、使い手が自ら「作り上げていく」もの。実際に使用する手帳には、より使いやすくするためにアップデートを重ねてきた試行錯誤の過程が詰まっている。愛用品とともに、その清水流・システム手帳活用メソッドを見てみよう。
スケジュール管理には、バインデックスの週間ダイアリーバーチカルリフィルを長年愛用している。無駄のないフォーマットや万年筆にも合うクリーム紙が好みだという。ちなみに写真の手帳に差し込まれた万年筆は、モンブランのヘリテイジコレクション1912。書き込みは万年筆か鉛筆が多い。文字のまわりを鉛筆で薄く塗り、強調することもある。
リフィルのフォーマットや書体、紙質も吟味し、気になるものは実際に試してみる。長年愛用してきたのは、見開きで1日を俯瞰するバインデックスの見開き1日ダイアリー。だが、慣れ親しんだこのフォーマットが2016年版をもって製造終了と判明! 泣く泣く代わりを探すことに。
思案の結果、同じバインデックスから出ている無地のインフォメーションメモ(方眼)に自分で日付スタンプを押して代用することに。6月頃から試しに使いはじめている。
システム手帳のインデックスは、本の章立てやフレームに等しい、と清水。探しやすくデザインも良いインデックスを長年探究し、試してきた。
これまでのインデックスの変遷。写真左が最も古いタブシールに手書き、中央はインデックス2種類で大小に分類し、略語をレタリング。写真右、現在はノックスブレインのPP製インデックスにラベルプリンターで作った透明シールを貼っている。
週末になると時間を見つけて一週間の記録を見返し、不要なページはスパッと捨てる。残した大事なページのみを分類する。この習慣によって手帳が膨らんでしまうのも防げるうえ、無制限にデータが増えていくこともない。常に手元には本当に必要な物事だけが残っていることになる。
仕事場のデスクの引き出しを開けると、これまでにそれぞれに愛用してきたシステム手帳がずらり。気分で外側のバインダーを変えたりするのも、楽しみ方のひとつだという。ウェブと違って物質的な「制限」があるはずなのに、工夫次第で使い方、付き合い方が拡張できるシステム手帳は、むしろ無限の可能性を感じさせる。メーカー側の事情で物自体がなくなってしまっても、発想次第でもっと使いやすいものに行き着くかもしれないのだ。……システム手帳、人間力を試される奥深きツールである。
○清水茂樹
1965 年福島県会津若松市生まれ。2004 年より文具雑誌「趣味の文具箱」編集長。2006年より「ノート&ダイアリースタイルブック」も手掛ける。
(ヨシザワ)
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