アメリカを感じるカタログ
別冊Lightning Vol.182 アメリカンヴィンテージ
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2017.01.12
濃く熱いファンが多い万年筆・文房具の趣味の世界。ファンのなかで今じわじわ人気が出てきているのが、「手帳型ペンケース」だ。一般的にはあまり馴染みのない形だが、それが選ばれるのにはちょっと変わった理由があるという。
一度ハマったら抜け出せないというその「奥深さ」から、「沼」に例えられる趣味の文具の世界。万年筆本体の美しさ、書く楽しさはもとより、インクや紙など、その組み合わせによって書き味や楽しみ方が無限大に広がる。その楽しみ方を一度知ってしまうともう戻ることはできず、ひたすら自分好みの組み合わせを見つける長い長い旅が始まる……まさに底なし沼だ。
そんな趣味人のなかで大切な万年筆を収納するために選ばれるのが手帳型。ジッパーで開閉するタイプで、開くと中には1本ずつペンを固定するペンホルダーがついている。一般的にペンケースと言われるものと比べると、だいぶ印象が違う。一般的なペンケースは文房具を持ち運ぶ用途が強いが、この手帳型ペンケースはどちらかというと「コレクション」要素が強いようだ。
文房具の専門誌「趣味の文具箱」の清水編集長いわく、この「手帳のように使える」ということが、なによりポイントなのだという。ジッパーを閉じた状態で本棚や机の上に置いてあれば、だれもが手帳だと思うだろう。これで「デキる男」演出をする……のが目的かと思いきや、そうではない。これはあくまでも争いを避けるためのカモフラージュ。……こうすれば、高額な万年筆をたくさん購入したのを発見されて冷ややかな目を向けられたり、そのお金の使い道をめぐって口論になる事態を避けられるというわけなのだ。相手はそう、たとえば、奥さんとか。
万年筆は、高価な嗜好品である。近年では数千円代で買える手頃な価格帯のものもあるが、5万円、10万円を超えるモノは決して珍しくない。それを趣味が高じて1本2本……と買い足していくと、いつのまにかウン十万円ぶんも集めていた、ということも十分ありうる。ハマっている立場からすれば大事な大事な宝物だが、そうした趣味のない奥さんに見つからないか、ひやひやしている……という人も少なくないらしい。
(写真は「中屋万年筆×趣味の文具箱 ライターモデル ポータブル黒溜 廻り止め万年筆」。お値段96,120円 (税込))
万年筆好きにとって手帳型ペンケースの魅力はカモフラージュ機能以外にもちゃんとある。万年筆を持ち歩くときは「ペン先を上にした状態」にしておくのが基本。横向きや下向きのまま、カバンの中などで揺らされると場合によってはペン先からインクが飛び出て、キャップの中がインクだらけになる事故も発生しやすい。手帳型ペンケースだとジッパーの位置を確認するだけで常時上向きのまま保管、携帯しやすいのだ。
「趣味の文具箱」の清水編集長は、手帳で知られたブランド「アシュフォード」とコラボし、オリジナルペンケース「アシュフォード×趣味の文具箱 トラッドブラウン 10本挿しペンケース」を作ったという。一般的な手帳型ペンケースは5本が多いというが、これなら10本ずらりと並べて楽しむことができる。ちなみに、清水編集長の持つ最大収納本数を誇るペンケースは特注のもので、なんと52本入るとのこと。底が見えない沼的万年筆の世界、その深さは想像以上に深いようだ。
○「アシュフォード×趣味の文具箱 トラッドブラウン 10本挿しペンケース」
https://www.ei-member.jp/shumibun/products/30
○趣味文CLUB
http://shumibun.jp/
(ヨシザワ)
趣味文CLUB
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