本づくりの原点がここに。
しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社 センジュ出版
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2019.02.20
文字に深い味わいを与えてくれる万年筆のペン先。その中でも、より表情豊かな文字が書ける、ちょっと変わった形のペン先があることをご存知だろうか? 一般的な万年筆のそれとは違い、太い線や細い線を思いのままに書き分けられるから、飾り文字やイラストの作成にも大活躍。ひとつ持っているだけで「書く」楽しみをグンと広げてくれるはずだ。
「ミュージックペン先」はその名の通り、本来は楽譜用。音符の玉(符頭)、玉から伸びる棒や旗(符尾)などが書きやすいよう、先端のペンポイントがヘラのように平たく角ばった形状をしている。横に引くと細い線、縦に引くと太い線が書けるため、文字にメリハリが生まれ味のある筆跡になる、と普段使いするユーザーも多数。次項でご紹介するカリグラフィーペンのように使えるのも魅力だ。
ペン先が平たいので、ペンポイントを紙に水平にあてて書かないとインク切れを起こしやすいが、筆記角度によって線幅が変化するというおもしろさも。ミュージックペン先のペンポイントはメーカーによって形状が微妙に異なり、線の太さも違ってくるので、それぞれに合わせた書き方で楽しみたい。
文字を装飾的に書くカリグラフィーなどに適した「カリグラフィーペン先」。カリグラフィー用のペン先にはさまざまな種類があるが、万年筆の場合はスチール製でペンポイントがなく、幅広でスクエア形状のものが中心だ。縦太・横細のコントラストが美しい独特の描線ができるので、アルファベットの飾り文字はもちろん、明朝系の仮名や漢字にもぴったり。シンプルなメッセージをグッと印象的なものにしてくれる。
書き方の基本は、ペン先を45度の角度に保つこと。それを意識しながら、【1】~【4】のように方眼ノートなどの罫線入りの用紙にジグザグの線を引いてみよう。右上に細い線を引き、そこから下へ太い線を引く、という動作を繰り返すうちに、太線・細線をスムーズに書き分けられるようになるはずだ。これをマスターしたら飾り罫線やイラストにもトライしたい。
「長刀ふでDEまんねん」は、創業100余年のセーラー万年筆が誇るオリジナルペン先のひとつ。戦前から受け継がれてきた伝統のペン先「長刀研ぎ」の、長く鋭角な形をした先端部を反り返らせたものだ。これにより、日本の文字特有のとめ、はね、はらいを美しく表現できる長刀研ぎの特性はそのままに、筆記角度に応じて細字から太字まで字幅を自在に変えることを可能にしている。
あまりの人気に生産が追いつかず販売を停止していたが、2018年から新モデルで復活したという注目の逸品。ペン先を寝かせるほどに線が太くなる、筆のような唯一無二の書き味を堪能したい。
個性あふれる万年筆のペン先を見ていると、俄然興味を掻き立てられる。特殊なペン先は2本目に選ぶ人が多いが、ここでご紹介したペン先は普段使いしやすいので、あえて最初の1本にするのもアリ。いろいろなシーンで気負わず自由に使いこなしたい。
(出典:『万年筆とインク入門』)
(エイサイト編集部・ヨシダ)
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