色で選ぶ万年筆インク!
INK 万年筆インクを楽しむ本
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2015.07.17
日本を代表する文房具メーカー「セーラー万年筆」。上質な製品と、熟練した職人が日本の万年筆文化を支えてきた。万年筆の命でもあるペン先のオリジナリティ、豊富さは世界でも類をみないほどで、それらを生み出してきたのが今年の3月にこの世を去った希代のペン先職人、長原宣義氏だ。そこで、現代の名工にも選ばれ、半世紀以上に渡りペンを作り続けた長原氏が考案したペン先をいくつかご紹介しよう。
ペン先の先端に通常より大きいペンポイント(接地面)をつけ、長刀のような鋭角なカタチが特長の「長刀研ぎ」。日本の文字を美しく書けるようにと長原氏が考案した代表作だ。ここから派生して、様々な個性的なペン先が生まれている。コンコルドのくちばしのようにペン先を下に曲げた「長刀コンコルド」は、ペン先を立てなくても細字が書ける。そして「クロスポイント」は2枚のペン先を貼り合わせ潤沢なインクフローを可能に。横や斜め移動をしてもかすれないように、十文字に溝が入っている。
さらに圧巻なのが3枚ものペン先を貼り合わせた「キングイーグル」。常識を覆すインクフローで、和紙などの浸透性の高い紙でもインク切れをすることがない。これらのペン先は見た目の迫力はもちろん、筆記用具としての美しさを兼ね備えている。
○セーラー万年筆
プロフェッショナルギアスリム
「長刀ふでDEまんねん趣味の文具箱限定ブルー」
2万1600円(税込)
https://www.sideriver.com/ec/products/detail.php?product_id=14196
さまざまペン先の中でもユニークかつ、傑作なのが「ふでDEまんねん」だろう。ネーミングからも分かるとおり、筆のように「トメ」「ハネ」「はらい」が万年筆で楽しめる。大ヒットした1080~2160円の価格帯のものは機械を使用して先端を曲げるが、上の写真の14金のペン先は熟練の職人がひとつひとつ手作業で加工をする。
筆のような書き心地を実現したのは、上へ反りかえる絶妙なカーブ。筆記の角度によって、筆記線の太さが変わり、筆のようにぬらぬらと滑らかにペンをすべらすことができる。このペン先は、『趣味の文具箱』の清水編集長も惚れ込み、2010年に「趣味の文具箱ブルー」の軸と組み合わせたコラボ商品を作成。以来、完売→再入荷を繰り返し累計300本以上を売り上げ、文具好きの心を捉えている。
長原宣義氏を生み出したペン先は、後継者たちによって大切に受け継がれている。ものづくりニッポンの技と情熱が詰まった逸品ぜひ手にしてほしい。
(K)
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