世界が注目する山の都。
Discover Japan_TRAVEL 山の都・匠の国 飛騨高山
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2017.12.21
伊賀上野で8代続く窯元「土楽」。その名を世間に広く知らしめたのが、7代福森雅武さんが考えた土鍋だ。自然の土で一つひとつ手づくりされる土鍋には、使いはじめから日々の使用法に至るまで、ちょっとしたルールがある。末永く一緒にいるために、そんな土鍋の個性をマスターしたい。
はじめは弱めの中火、その後火力を上げ、終盤はまた弱火に。この火加減は土鍋を使う上で覚えておきたい大切なポイント。土鍋は加熱すると膨張し、冷ますと収縮する特性があり、強火で一気に加熱すると割れの原因になってしまう。
土鍋は購入後すぐに使えるわけではなく、貫入(釉薬のひび)や気泡をでんぷんで埋めて水漏れを防ぐためにお粥を炊く必要がある。お粥は弱火で1時間ほど炊いてから火を止め、24~48時間放置。その後しっかり乾燥させる。
洗ってすぐに仕舞うとカビや変色の原因になるため、完全に乾かしてから収納を。濡れた状態で調理をするのもNGで、土鍋は使用するときも仕舞うときも、しっかり乾いた状態でということもポイントとして覚えておきたい。
洗うときにも加熱時と同様の注意が必要。洗いはじめるのは、鍋の熱が完全に取れてから。熱いうちに洗いはじめると急激な温度変化が割れの原因になるからだ。焦げがある場合はぬるま湯でふやかした後にタワシ等で軽くこすり取る。
調理後すぐの土鍋は、取っ手部分やふたも思った以上に熱い。コンロからテーブルに移すときは、厚手の鍋つかみやオーブングローブなどで一度鍋をつかみ、やけどしないかどうか念のため確認しておきたい。
土楽といえば黒鍋の印象をもたれるが、実は土鍋だけでも100種類近くの商品がある。福森さんの20歳の頃の作である「文福鍋」はふたの部分を高くして、内部に野菜を何層も重ねられるようにした。この鍋を最初に使ったのは、交流のある京都吉兆の徳岡孝二さんだ。野菜を美味しく食べるために考えた鍋を介して、どんなやりとりが交わされたのだろうか……。
汁物には南仏で作陶中に考案されたアメ釉口付洋風片手鍋を。価格:6500円
深底型で保温に優れるポトフ鍋は煮込み料理に。価格:8000円(2~3人用)
ふたが高く野菜を蒸すように調理できる文福鍋。価格:1万2960円(2~3人用)
福森さんの底流にあるのは何ものにも縛られない自由な精神だ。そのとき感じたものをかたちにし、日々の暮らしを心豊かに過ごす提案をしている。来年はイギリスで展覧会を開催。イギリスの風土と文化に触れてどんな作品が生まれるのだろうか。いまから楽しみだ。
【DATA】
●土楽
電話:0595-44-1012
www.doraku-gama.com
(出典:『Discover Japan』、写真:Ko Miyaji、文:Mayumi Furuichi)
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