ぬりえで楽しむ平安絵巻
ぬりえ 源氏物語
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2018.05.01
東京の象徴として長らく君臨してきた東京タワーには、実は意外な秘密があった……。2020年に向け、生まれ変わりはじめた東京タワー、大人になったいまだからこそ改めてその魅力に迫ってみたい。
いまからさかのぼること60年。高度経済成長期を迎え日本人が自信を取り戻した頃、首都の中心に世界一の塔を建てるべく名乗りを上げた実業家がいた。産経新聞の創始者・前田久吉だ。
相次いではじまったTV放送で乱立するテレビ塔を前に、国は景観や航空法上の懸念を払拭し、関東一円に安定した電波発信を目的とした総合電波塔の設立を掲げた。さまざまな提案から、最終的に前田の案が選ばれ、前田は耐震構造の父として知られる内藤多仲に声をかけ、設計を開始した。昭和32年の春のことだ。内藤は、耐震対策に頭を悩ませながらも、夏には設計を終える。このときの設計図は実に1万枚にも上ったという。
「工期は約1年半。満足な建設機材が乏しい中、タワーは多くの職人の技が結集したいわば日本技術の集大成であるといえます。東日本大震災の際にはタワーの天辺が円を描くように揺れ、エネルギーを逃がしました。塔頂部に一部のダメージこそありましたが、お客さまにけがもなかった。タワーは首都圏有数の安全な建築物といってもよいでしょう」と語るのは広報の小椋信也さん。
東京の有為転変を見守り続けてきた東京タワーには、多くの逸話があった。改めて、東京タワーの秘密を解説していこう。
教えてくれた人:小椋信也さん
東京タワーを運営する日本電波塔の広報。「ここ数年で外国人のお客さまも大幅に増えました。東京タワーの魅力をさらに発信していきたいと思います」
【1】実は、脚一本で支えられる!?
4本の脚で美しいアーチを描く東京タワーには、地震大国日本の環境を想定した牢固たる設計がなされている。なんと東京タワーの総重量4000tが1脚にかかったとしても崩れない計算だとか。設計に携わった内藤多仲は、米国留学中のひょんな出来事から耐震設計のヒントを得た。「揺れに対して重量を分散し1箇所にストレスを集中させないこと」。内藤の持論により、東京タワーは風速90mに耐え、関東大震災の2倍の揺れを逃す堅牢性を持ちつつも、結果的に合理的な美しさがつくりあげられた。
【2】東京タワーの色は「赤×白」ではない
▲現在の東京タワー
東京タワーの“赤”は、正確には「インターナショナルオレンジ」と呼ばれるやや赤みの強い朱色だ。「東京タワーがこのカラーリングになったのは航空法上の規定のためです。ちなみに建設当初はメインデッキから上をインターナショナルオレンジと白で11等分で塗り分けられていましたが、現在は法改正で7等分になりました。メインデッキの色もインターナショナルオレンジから白に模様替えされています」(小椋さん)。
【3】ライトアップは自由自在! 照明を手掛けるのは誰?
▲現在のランドマークライト
▲昔のライトアップ
夜の東京タワーをイメージしたときにまず思い出すのは「ランドマークライト」(上図)だろう。照明を担当したのは、レインボーブリッジなども手掛けた世界的に知られる照明デザイナー石井幹子氏。実はこのライトアップには「ダイヤモンドヴェール」と呼ばれる種類も。タワーの外に向け発光する276台の照明が際立つデザインだ。基本は7色だが、イベントなどに合わせ特別にカラーリングを調整することも多い。2020年の東京五輪の決定後には、五輪マークをイメージしたライティングが実現した。
【4】「初日の出を見る会」が有名!
東京タワーでは暦に合わせた日本の行事を大切にしている。特に元旦のイベントは大人気。「通常は午前9時からオープンですが、元旦は6時から営業。東京湾から上る初日の出は最高です。中には前日から並ぶお客さまもいるほど。タワーの一大イベントですね」と小椋さん。先着順で記念メダルがもらえるのも魅力。そのほか、紋付袴姿のノッポン兄弟に会えるなど、年はじめから東京タワーを存分に堪能できるスペシャルイベントだ。
今年60周年を迎えた東京タワーは2020年を見据え、変化の真っただ中だ。今回の記事をじっくり読んでいただき、ぜひ改めて現地へ足を運んでみてほしい。ここは外から眺めて美しいのはもちろん、中からも極上の東京体験ができる都内随一の場所なのだから……。
【DATA】
●東京タワー
住所:東京都港区芝公園4-2-8
営業時間:メインデッキ(150m)…9:00~23:00 ※最終入場22:30/トップデッキツアー(250m)…9:00~22:15の間、15分おき ※最終ツアー22:15
電話:03-3343-5111(代表)
www.tokyotower.co.jp
※この記事は2018年4月6日に発売した『Discover Japan 2018年5月号 Vol.79』の記事を一部抜粋して掲載しています。
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(出典:『Discover Japan』、text:Sayaka Sena、main photo(right): Takashi Yasui)
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