最適なMacの使い方
iPhoneユーザーのためのMacBookシリーズ使いこなし術
© 1999-2021 Ei-Publishing Co.,Ltd.
2019.05.22
『iPhoneユーザーのためのMacBookシリーズ使いこなし術』を出版したばかりの我々としては、微妙な心持ちにならざるを得ない部分もあるが、唐突にMacBook Proがアップデートされた。
現行ボディの初代であるMacBook Pro(2016)が登場したのは2016年10月28日のApple Event(これにはウチは取材に行ってない)。MacBook Pro(2017)は2017年6月6日の私が初めて取材に行ったWWDCで発表された。MacBook Pro(2018)はWWDC 2018では出なくて、2017年7月11日にわりと静かに発表された。
そして、今回MacBook Pro(2019)も、プレスリリースだけの静かな発表である。
メジャーチェンジだった2016はApple Eventで大々的に発表し、翌年はWWDCで。それ以降は、しれっとプレスリリースだけの発表ということだ。
2週間後にWWDCを控えた今、発表されるというのは、WWDCではソフトウェア、OSに集中してくれということなのか? それとも別の大物が控えているのか?
モデルチェンジのポイントは、15インチは8コアのCPUが選べるようになるなど大幅なスペックアップ。13インチもCPUのクロックが向上した。
また、重要なポイントとして、トラブルが多かったバタフライキーボードに対策が施されたと米メディアが報じている。ちなみに、キーボードに変更があった件に関しては公式プレスリリースには触れられていないが、同時に旧モデルのリペアプログラムが始まったので、これはちゃんと対策が施されているとみていいだろう。
CPUはMacBook Pro 15インチは第9世代のIntel Coreプロセッサを登載。
15インチの上位モデルが、8コアのi9の2.3GHz(Turbo Boost時4.8GHz)で、価格は従来のフラッグシップと同じ30万2800円(税別)(メモリー16GB、ストレージ512GB)。8コアの15インチモデルが30万円ちょいで買えるというのは、お買い得だといっていいだろう。
さらに性能の高い、8コアのi9の2.4GHz(Turbo Boost時5.0GHz)を選ぶと、2万2000円UP。
さらに、4万4000円追加でメモリーを32GBにでき、ストレージは4万4000円、11万円、30万8000円(!)追加で、それぞれ1TB、2TB、4TBにできる。
また、GPUも標準搭載のRadeon Pro 560Xから、Vega 16、Vega 20などを選択できるところもMacBook Pro 15インチを買う理由のひとつだといえるだろう。
従来モデル同等の第9世代2.6GHz 6コア Core i7プロセッサ搭載モデルは25万8800円(税別)と、これまたかなりお買い得になった。シビアにCPU性能を要求される人以外は、これを買ってストレージを増量するというのも賢い選択かも。
13インチは、Touch Bar付きモデルでは第8世代の2.4GHzクアッドコア i5(Turbo Boost時4.1GHz)と、2.8GHzクアッドコア i7(Turbo Boost時4.7GHz)を選択できるようになった。とはいえ、こちらは比較的小幅なアップデートといっていいだろう。
全体に言うと、15インチも13インチも、昨年CPUまわりに大幅なアップデートを受けて速度向上を果たしており、今年もそれに沿ったパワーアップ、もしくは同一スペックでいえば低価格化だ。
2016にTouch BarとThunderbolt 3を登載してフルモデルチェンジを受けた現行モデルもいよいよ爛熟期となっており、非常に安定して高い性能を発揮する成熟したモデルとなった。安定したマシンを好む人にはいよいよ買い時となった。
逆にいえば、2008年にアルミユニボディ、2012年にRetinaディスプレイ、2016年にTouch BarとThunderbolt 3……というサイクルからすると、2020年にはフルモデルチェンジがあったもおかしくないから、最先端のモデルが欲しい人は来年までの辛抱かも。
性能向上とディスクドライブなどの可動部品がなくなったMacBook Proは非常にモデルサイクルが長くなっており、筆者も何不自由なくMacBook Pro(2016)の13インチを使い続けている。少々高価なモデルを買って、長い間使うのが、今流のMacBook Proの使い方かもしれない。
Appleの日本法人から公式な情報は出ていないが、米AppleはMashableやThe Vergeといった一部のメディアに対して、『キーボードのトラブルを解消するために内部の素材を変えた。デザインに関しては2018のMacBook ProやMacBook Airから変更はない』と述べている
Mashable
「アップルは『キーボードのメカニズム内の材料を変えた』と言った。どの部分が改善されたのか、それ以上の詳細は共有されなかった」
https://mashable.com/article/apple-macbook-pro-2019-intel-core-i9-improved-keyboard/
The Verge
「アップルは『メカニズムの一部を新しい素材で構築し、問題が軽減されるようになった。素材以外のデザインについては2018年モデルのMacBook Pro、MacBook Airと同じです』と述べた。」https://www.theverge.com/circuitbreaker/2019/5/21/18634245/apple-13-15-inch-touch-bar-macbook-pro-keyboard-faster-intel-specs-update
新型のキーボードが変わったという件については、静かに米メディアにだけ発言しているが、本モデルを含むバタフライキーボードの全モデル、つまり2016以降のMacBook Proのすべて、昨秋NYで発表された新しいMacBook Air、2015以降のMacBook(12インチ)のすべてを対象にしたリペアプロブラムは日本でも発表されている。
MacBook、MacBook Air、MacBook Pro キーボード修理プログラム
https://www.apple.com/jp/support/keyboard-service-program-for-mac-notebooks/
これまでのバタフライキーボードには何らかの可能性があることをアップルが正式に認め、トラブルがあった場合、無償で修理されるようになったということだ。とはいえ、キーボードはボディ上面と一体のパーツなので、交換となると全分解となるので、ジーニアスバーに行ったとしても預けねばならず(つまり「データが消えても保証しないので、バックアップ取ってますよね?」と聞かれる。たいていは消えないけれど)、ユーザーにとっても面倒な修理ではある。
また、同時に、13インチMacBook Proのディスプレイの修理プログラムも始まった。こちらも心当たりのある方は、アップルに連絡を。
13 インチ MacBook Pro ディスプレイバックライト修理プログラム
https://www.apple.com/jp/support/13-inch-macbook-pro-display-backlight-service/
世界中で、非常に多くの人が使っているMacBook ProのTouch Barシリーズの総決算といえるモデルになると思われる。フリック!では商品をお借りできたらベンチマークテストなども行ってみたいと考えている。お楽しみに。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年6月号 Vol.92』)
(村上タクタ)
詳しくはこちら!
iPhoneユーザーのためのMacBookシリーズ使いこなし術
¥1,012(税込)
(2019.05.08発売)
この記事を読んだ人におすすめの記事
あわせて読みたい
この記事を読んだ人におすすめの本