本づくりの原点がここに。
しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社 センジュ出版
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2015.05.18
杉や檜の薄板を曲げて作る“曲げわっぱ”。伝統工芸品として秋田県大館市の曲げわっぱなどが有名だが、だいたい2万円~と値が張る。白木を使用して作られる伝統の曲げわっぱはお手入れにも手間ががかかる。ところが、毎日お弁当を作る女性のあいだでは曲げわっぱが人気だという。
おかずを詰めたとき美味しそうに見える、木目が美しい、など見た目の良さはもちろんのこと、曲げわっぱの良さはもっと実用的な理由があった。「炊きたてのご飯を入れても程よく水分を逃がしてくれるので冷めてもおいしい」、「杉の殺菌作用でご飯が傷みにくい」、「天然杉の香りが食欲をそそる」など、いいこと尽くしなのである。
料理研究家のこぐれあいこさんも曲げわっぱを愛するひとり。ご主人が高校生の頃から使っているという曲げわっぱに、毎日愛情をこめてお弁当を詰める。
「母が買ってくれたそうです。いいものを選んで大切に使い続ける。私も見習いたいですね」
お弁当を毎日作り続けるには、ちょっとしたコツがある。できれば楽しく、美味しいものを作り続けたい。そこで、ご主人と元気いっぱいの3人のお子さんと暮らすこぐれさんにコツをうかがってみた。
「すべてイチから準備するのではなく、前の日の晩ごはんから1~2品、お弁当のおかずに展開させます。主役のおかずが晩ごはんと一緒だと手抜きに見えるので、調理方法や味付けを変えて。お豆やひじきの煮物など、副菜はそのままお弁当に入れることも多いですよ」
例えばケチャップとウスターソースをたっぷりかけた、ふっくらジューシーなハンバーグは、メンチカツに変身させる。ハンバーグのタネをお弁当用にとっておき、翌朝、塩もみしたたっぷりのキャベツと合わせて、衣をつけてカラリと揚げる。つけ合わせの粉ふきいもは、卵と一緒にスペイン風オムレツに変身。常にお弁当のことを念頭において準備すれば、日々のお弁当作りが楽になるというわけだ。
それでは、晩ごはんの美味しさを生かしつつ、お弁当へ変化させるポイントはどこか? こぐれさん流のポイントを教えてもらった。
1)簡単に味を変えるには、タレを活用
2)副菜は多めに作って、そのまま翌日のお弁当に
3)主菜にはできる限りアレンジを加える
4)お弁当に入れておくものは、あらかじめ取り分けておく
5)揚げ物のおかずは、“揚げてから冷凍”が楽
6)晩ごはんのおかずをパンで挟むと、見た目も大胆に変化
がんばりすぎないことが、こぐれさんのルール。どうしても時間がない日は具だくさんの豚汁やシチューをスープジャーに入れて、塩むすびと一緒にお弁当にすることもあるという。
「お弁当のメニューを考える時もガチガチに固めすぎず、ある程度の余白を残しておきます。天気や気温、気分によって食べたいものが変わってくるでしょ? いつでもメニュー変更できるように、レシピの数を増やしておかないと。私もまだまだ勉強中ですね」。そう弾けるような笑顔で語ってくれた。
○こぐれあいこ
北海道小樽市在住
料理学校に勤務後、料理家のアシスタントを経て独立
自宅にて少人数制料理教室『まめまめキッチン』を主宰する他
雑誌などにレシピを提案している
身近な材料で作る家庭料理が得意
▼『暮らし上手ウェブ』では、こぐれあいこさんのレシピを公開中
http://www.kurashijouzu.jp/cook/kogure-aiko/
(K)
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¥1,018(税込)
(2015.02.21発売)
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