超ラクお弁当の作り方
簡単!のっけ弁当の本
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2017.03.06
「旬」の食材は美味しい、栄養たっぷり、値段もお手頃、といいことだらけ。とはいえバタバタと慌ただしい朝の時間には、とても「旬を意識しておかずを準備」だなんて、そんな余裕はとてもない……。でも、料理家の中川たまさんによれば、工夫次第で旬を取り入れることは難しくないそう。どうしたら、忙しいなかでも季節感あふれるお弁当を作り続けることができるのか、その時間術と工夫を中川さんのお弁当から学びます。
もう20年近く、平日は毎日お弁当を作っているという中川たまさん。結婚してからはご主人のため、現在はご主人と高校2年生の長女・にこちゃんのため、毎朝2つのお弁当を準備しています。中川さんがお弁当作りで大切にしているのは、旬の食材を取り入れること。旬の食材は味が濃くて美味しく、栄養も豊富。おまけに値段もお手頃……というのはもちろんですが、実はお弁当に意識的に取り入れるのには、もうひとつ大きな理由があるのです。
「お弁当のおかずはどうしてもマンネリになりがちですが、旬の食材を使うことで季節感が出て、飽きずに楽しめますよね」
旬を取り入れれば、自然とお弁当の中身もそれにしたがって移ろってゆく。食べる側は飽きがこないし、季節感も感じられる。「家族に少しでもお昼の大事な一食を楽しんでほしい」……その思いが、中川さんが旬にこだわるなによりの理由です。
中川さんのある春の日のお弁当がこちら。
サワラのショウガ醤油漬け、新ジャガイモの木の芽味噌和え、菜の花と鶏肉のアーモンド和え、ダシ巻き卵の4品のおかずに、ごはん。季節もしっかり感じられて、思わず顔がほころんでしまうような彩りの美しさ。とても手間がかかっているように見えますが、実は朝の20分で仕上げているというから驚き!
朝食や出かける家族の世話など、だれにとっても余裕がない朝。どうしたらそんな余裕を持てるのでしょう? 実は中川さん自身も、朝が苦手。それでも季節感のある豊かなお弁当を届けられるのは、前日の夜に下準備を済ませているから。
「夜のうちに8割がた準備をしておいて、朝作るのは2割ぐらい」
「8割」の準備としては、こんなことをしているそう。
・お弁当のおかずを作る
・野菜を洗って切っておく
・調味料を混ぜて、朝は和えるだけ、のタレを作っておく
どれも単体ではそこまで時間を必要としない下準備ですが、この用意をしておくだけで、朝の時間にぐんと余裕ができます。
前日、心に余裕がある夜のうちに、明日のことを考えて準備をしておく。たとえば先ほどのお弁当には、こんな工夫が隠されていました。
「菜の花と鶏肉のアーモンド和え」……ゆでておいた菜の花と作りおきのゆで鶏を使用。朝は衣と和えるだけ。
「新ジャガイモの木の芽味噌和え」……白味噌と木の芽を混ぜた木の芽味噌を前日に作っておく。翌朝は揚げた新ジャガイモと和えるだけ。
朝、あわてているところでイチから味つけをしている時間はとてもない。だからこそ、味つけが一発で決まるタレや、味つけをするだけでおかずになってしまう蒸し野菜やゆで野菜の準備があれば、パッと出してさっと仕上げられる。前日にどれだけの準備をしておけるかで、お弁当の味わい深さも変わってくるといえるのです。
不思議なことに、昔作ってもらったお弁当の記憶って、あとからも消えずに残っているもの。一日の半ばでフタをあけたときの「あっ」という感動は、きっと、毎日少しずつでも積み重なって、心を豊かに育てていってくれます。大切な人の明日の笑顔のため、今晩の晩ごはんの準備、ひと手間かけてみませんか。
(ヨシザワ)
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¥1,018(税込)
(2017.02.23発売)
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