週末、乾杯しませんか?
暮らし上手のホームパーティー
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2017.10.18
「自分たちのこだわりを反映した家に暮らしたい」と口では簡単に言えるけど、実際はわからないことだらけの住宅事情。自分の家に何を求めるのか、イメージをクリアにすることが重要になってくる。それには『譲れないこと』『譲ってもいいこと』をはっきりさせること。
成功した事例として、料理研究家・柚木さとみさんの料理スタジオ『さときっちん』をご紹介しよう。
「5年前に借りたので、もう築70年以上になりますね」。そう言って笑う料理家の柚木さとみさんの自宅兼キッチンスタジオ『さときっちん』は、木の温もりあふれる平屋造り。借りようかどうしようか3カ月は迷ったというほど老朽化が進んでいて、柱をゆすると家がグラグラ揺れたほど。『駅から10分以内』『平屋』『庭付き』は賃貸物件としては魅力のキーワードだが、それでも借り手は現れなかったという。
「相当ボロボロでしたから。でも素材や家の佇まいに、なんとなく可能性がある気がして。原状復帰なしのリノベーションを認めてもらえて決めました」。住んでいたアパートの立ち退き料を工費にあて、3Kを1LDKに変更。設計や施工、家具作りに長けた友人たちの協力で、根太張りや配管工事以外は、自分たちの手で改造していった。
「図面は私が描きました。家事動線や収納の量や位置、キッチン横にデスクを置くなど機能性を重視しました」と柚木さん。家具は『グリーム』のものをメインにし、素材感ある心地いい空間を生み出している。
既存のコンパクトキッチンは撤去し、床を剥がしてスケルトンに。広さの割に柱が少なく細かったため、耐力壁や柱を加えて補強するなど、借家とは思えない大掛かりなリノベーションで趣ある平屋に大変身。
生まれ変わったキッチンには光と風が通る。「シンクは引っ越すから使わなくなる。という友人宅に取りに行って設置しました」。
(左)毎日使う道具はカウンター下に。
(右)シンクから2、3歩の位置にパソコンが待機。
天井材を外して屋根材と梁を現し、開放感をアップ。ペンダント照明は、ドラム缶を再利用して作られた『グリーム』のランプ。
玄関のクッションフロアを剥がして出てきた趣ある床板。それを段違いの棚にアレンジ。他にも飾り棚やせいろを置くラックに活用。
ホームセンターでSPF材を購入し、ビス打ち、ヤスリがけ、塗装まで。「大変な作業でしたが、思い出深い床になりました」。
ノール社の1940年代頃のソファが置かれた場所は、元は押入れ。「天井がここだけ低く、座ると妙に落ち着くんです」と柚木さん。
【柚木さとみさんが、譲れなかったこと】
キッチンスペースを広く
「広いキッチンは必須でした。まずキッチンの配置を決めてから全体の間取りや家具の配置を決めたほどです」。
【柚木さとみさんが、なくてもいいと決めたこと】
生活感の排除
「LDKを優先にし、ベッドルームに服やテレビなどの生活感を感じやすいものを収納して工夫しています」。
◯柚木さとみさん
料理家・カフェプランナー。2011年に築65年の借家をセルフリノベーションし、料理教室「さときっちん」を主宰。TVドラマの料理担当や雑誌、書籍など多分野で活躍中。
(出典:『Kurashi Vol.1』)
(編集 M)
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¥1,018(税込)
(2017.09.20発売)
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