日常を楽しむ旧車カスタム
別冊Lightning Vol.231 VINTAGE AUTO 快適旧車のススメ。
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2018.10.17
今年(2018年)3月にオープンした最新スポット『東京ミッドタウン日比谷』の1階にあるブランド体験型施設『LEXUS MEETS…』は、レクサスの世界観を体験できるスポット。
普段はあまり身近に触れる機会の少ない上質、高性能なレクサスの車とともに、上質な暮らしを演出するライフスタイル製品、家電、雑貨などが展示されるBUTIQUE、CAFÉなどが併設されている。
2018年9月19日から10月16日にかけて約1カ月間そこに展示されるのが、『世界一、素材本来の味を引き出す鍋』として、入手困難なほどの人気を誇るMade in Japanの鋳物ホーロー鍋『バーミキュラ』。
実際に店舗に行って見ると、レクサスの最新の高級車、LS500hと、IS300とともに、バーミキュラの人気を不動のものにした鋳物ホーロー鍋『オーブンポットラウンド』や、電熱による鍋炊きで、信じられないほど美味しいご飯が炊けると評判の『バーミキュラ ライスポット』などが展示されていた。
現地に行くまでは、鍋と自動車の展示とはどんなものなのか不思議に感じていたが、実際に目にしてみると、どちらも高度な製造技術、日本ならではのモノ作りへのこだわり、それが演出する感性豊かで上質な暮らしが共通するからか、意外なほどマッチした展示となっていた。
バーミキュラならではの特徴は、その高品質な鉄の鋳造技術と密閉性を高める精密加工、その上に施されたホーロー加工の技術にある。
鋳鉄とは溶かした鉄を型に流し込んで製造される素材。型に流し込んで作るので、鉄の厚さ、形状などを自在に設計でき、熱容量が大きいのでムラのない安定した強力な加熱ができる鍋となる。
その鋳鉄の鍋の表面に、ガラス質の釉薬を均一な膜厚で吹きつけ、ホーロー加工を施してある。これにより汚れが取れやすく扱いやすい。
そのホーロー加工を施された鋳鉄の鍋の美点を活かす、バーミキュラの最大の特徴は、その密閉性。鍋本体と同じく鋳造で作られたフタとの合わせの部分に職人が精密加工を施し、薄紙1枚通らない、0.01mm精度の密閉性が実現されている。これにより、ただフタを置いただけで加熱時にも水分を逃さないバーミキュラならではの密閉性を実現している。
これらの高度な技術の集成により、バーミキュラならではの『素材本来の味を引き出す鍋』ができるのだ。
その鍋を、温度コントールするIHヒーターと組み合わせたのが『バーミキュラ ライスポット』。いわゆる『はじめちょろちょろ、中ぱっぱ』というような温度制御をIHで行いながら、鋳鉄鍋ならではのトルクのある熱が美味しいご飯を炊く。
また、設定により炊飯だけでなく、無水調理、低温調理なども自在に行うことができる新たな調理器具なのだ。
単なる『調理』ではなく、その感性、クオリティを楽しもうと、鍋の製造工程の改革という根本から取り組んだバーミキュラ。単なる『移動』ではなく、その走りのフィーリング、ラグジュアリー性の本質にこだわったレクサス。それらが、一緒に展示されるのはある意味必然でさえある。
しかし、よく考えてみると両者の相似はそれだけではない。
自動車の製造においても鋳造技術というのは根幹を成す技術で、エンジンの根本であるクランクケース、フレームの複雑な形状の部分、ホイールなどさまざなな部分が鋳造によって作られている。まったく違うように見える製品だが、根本部分で使われている技術に共通性があるのだ。
さらに言うと、実はトヨタ自動車のルーツは、豊田自動織機という繊維機械メーカー。バーミキュラを作っている愛知ドビーも創業当初はドビー機という織機の一種を作る鋳造メーカーだった。どちらも愛知県の繊維産業に携わっていたという意味で、深いところでそのモノ作りの精神に相通じるものがあるのかもしれない。
手前のLS500hは5mを越える全長と、1,900mmの全幅という堂々とした体躯に3.5LのV型6気筒エンジンにマルチステージハイブリッドシステムを組み合わた高級車中の高級車だ。この巨体がバイブリッドで時に静々と、時に力強く走る様子は実にエレガント。
奥のIS300は直4、2リッターインタクーラー付きターボのホットなセダン。5人の大人がしっかり乗れて、かつ走る楽しみを味わえる車だ。
CAFÉスペース『THE SPINDLE』では、これらの車を眺めながら、バーミキュラで調理した料理を食べることができる。
昼は無水ポトフカレー(40食/日限定・1200円(税別))、夜はローストビーフ丼(10食/日限定・1500円(税別))が楽しめる。料理はもちろん、ご飯もバーミキュラで炊いたものだ。
(特製メニューの提供は10月23日まで)
無水ポトフカレーを試食させていただいたが、肉もジャガイモもニンジンもホロホロと崩れるほど熱が通っているのに、濃厚な旨味を感じる料理だった。
それは、都会のド真ん中、とてもお洒落なスポットにいるのに、家族の優しさを思い出させてくれる柔らかな味だった。このカレーを食べるだけで、バーミキュラとそのモノ作りのこだわりが、何を目指しているのかよくわかる。
(村上タクタ)
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