2015.07.03
刀剣の次は甲冑! 一歩先行く歴女のための「甲冑のココを見れば時代が分かる」
■兜、鎧、具足。甲冑を見れば時代がわかる!
「刀剣女子」が名刀をひと目見ようと全国の美術館に足を運んでいる。美しさとともに、その刀が歩んできた歴史に思いをはせ、歴史そのものに興味を抱く女性も多いそうだ。
刀から身を守る甲冑も歴史が色濃く反映されている。そこで、「あ~、これ江戸時代の甲冑ね。だって、見かけはいいけど防御が甘いもの」なんてツウなことが言えてしまう、武具と歴史についてご紹介しよう。
時代を見分けるポイントはざっくり3つ
武器や戦い方によって、身を守るための甲冑も進化している。例えば頭にかぶる半球部分の「鉢」は、“載せる”のものから、後頭部まで頭全体を覆って守る形状に変化。胴まわりは、武器が弓から銃へと移り変わるとともに強固な素材で隙間なく作られた。そして、草摺(くさずり)と呼ばれるスカートのような部分は、馬上で戦う平安・鎌倉時代は下半身を覆うように4枚のものが主流だが、戦国時代には自分の足で走ったり山を登ったりと機動力が必要になったため分割化が進んだ。
このように甲冑の作りを見て比べると、どの時代の甲冑であるのかが予想できる。このあたりのポイントを念頭において、各時代の甲冑を見ていこう。
2つの時代の境目は、馬上の戦いか、自らの足で進むか
「やーやーやー、我こそは」と名乗りをあげ、1対1で正々堂々と戦った平安時代の戦。優美な甲冑を身に付けた貴族武士たちの戦は、鍛え上げられた弓馬で戦いを挑む。そのため弓に対する防御に主眼がおかれ、例えば右利きの人が弓を射る際には、左側の防御が手薄になるため強度の高い板を配して防御力を高めている。
時代が南北朝に移ると山の砦などに攻めることが増え、弓より槍を使った接近戦が有効になってくる。自分の足で山を登ったり、走ったり。そのため動きやすさが重視され、草摺の分割が進んだ。
個から集団戦法の時代へ。合戦の変化で武具も進化する
戦国時代に入ると、とにかく機動力が重視される。弓矢も使われたが槍の接近戦に備え、肩の部分の袖も簡素化され、草摺も細かく分割化される。そして集団で統率のとれた戦いが求められ、武具の量産化が行われ、武具を朱塗りで揃えた「武田の赤備え」なども登場する。一方で、戦国時代には鉄砲伝来により鉄板製の胴が用いられるなど、武器や合戦の変化により防護する武具も変化してきたことが分かる。
このように進化を遂げてきた武具だが、天下泰平の江戸時代に入ると役割も変わってくる。「飾り鎧」と呼ばれる飾り物が増えてきたのだ。戦で使わないのだから、防御力や機動力も関係ない……。というわけで、ここまでの甲冑の系譜からすると少々物足りない気もするが、この後、江戸時代に栄えた大名たちは鎌倉時代に戻ったかのような大鎧で、贅を尽くした甲冑を作り、美術品として価値の高い武具を後世に残している。
正装である羽織袴から、作業着であるユニフォーム、そして美しさを引き立てるタキシードへ。時代とともに変化してきた武具から、当時の戦に想いを馳せてみるのもいいかもしれない。
(K)
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