スタイリングを武器にする。
Men’s PREPPY 2018年6月号
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2016.03.24
美容激戦区である表参道界隈で、いまひときわ注目を集めている美容室がある。それも、メインとなる客層は女性ではない。「そこで髪を切ってもらえば必ずモテる」とも言われ、全国規模で男子高校生を中心にファンを増やし、客足が途絶えることがないサロン。それが、「OCEAN TOKYO」だ。
本サロンのトップスタイリスト兼代表である3人は、それぞれにTwitterフォロワーを3万人以上もつ。三科氏にいたっては、3月末時点でフォロワーは16万6千人を超えている。先日出版した初めてのオフィシャルブック『OCEAN TOKYOのメンズヘアBOOK』は、予約開始と同時にアクセスが殺到、瞬く間にAmazonの本ランキングで2位を記録した。
髪型をキメてくれれば、そりゃモテるに決まっている。それならば、他の美容室だって変わらないじゃないか……。そんな声が聞こえてきそうだ。では、OCEAN TOKYOが他の美容室と異なり、ここまで注目される存在となっている理由はどこにあるのだろうか?
OCEAN TOKYOは2013年、原宿に誕生した。現在は渋谷・原宿エリアに3店舗を数える。「LIFE HAIR for you.」というコンセプトを掲げ、店のアイコンにもなっているトリコロールのフラッグには“自分の旗を掲げよう”という想いがこめられている。その言葉のとおり、彼らの目は常に目の前の「髪型」を越えて、その向こうの「人」に向かっている。彼らが何度も繰り返すのは、「髪が変われば、人生が変わる」という言葉だ。「キレイにします」「かっこよくします」という以上に、「かっこよくして、必ず君の人生を変える」という強い意志。
そのブレないコンセプトは、OCEAN TOKYOを率いる代表3人の言葉によく表れている。OCEAN TOKYO代表・中村トメ吉氏、OCEAN TOKYO代表・髙木琢也氏、OCEAN TOKYO Harajuku代表・三科光平氏の3人。彼らだけでなく、OCEAN TOKYOに所属するスタイリスト全員が自らSNSで発言しつづけていることも、当サロンの特徴だ。
中村氏は自分自身の学生時代の経験をもとに、こう話す。
「何より髪型を大切にしてきた経験があって、それで輝く青春があったからこそみんなに伝えたいんだな! 学校つまんねーとか、俺なんかじゃカッコよくなれないとか、好きな子とうまく話せないとか、やりたい事あるけどまわりを意識しちゃうとか、一歩踏み出せないとか。そーゆーすべてが髪型ひとつでプラスに向くと俺は信じてる」
三科氏も続ける。
「“髪型で人生が変わるってどういうことですか?”って聞かれることも多くて、……そんな時、僕はこう聞きます。“髪型で印象は変わると思う?”そうするとみんながこう答える、“変わります”。“じゃあ、印象で人生は変わる?”その答えも、イエス。髪型で人生が変わるっていうのは、つまりそういうこと」
髪型で印象は変わる。わかっているのに一歩踏み出せない男子たち。“その髪型が自分なんかに似合うのか”“高校デビューってまわりから思われたくない”……思春期の男子たちの心はしごく繊細だ。周囲にどう見られているかすごく気になる。が、それゆえに、その変化にも躊躇してしまう。その迷える背中をバーンと力いっぱい押してくれるのが、OCEAN TOKYOなのだ。
三科氏はいう。「色々気にしているけど、僕の中ではそれは“もったいないこと”でしかない。何もせずにいるより、まわりから見てもらえるようになるだけプラスになる。……人がまず見るのは顔で、髪型は必ず目に入るもの。そんなに大事なヘアスタイルなのに、本当に変わらなくてもいい?」
彼らの発信するものを追っていくと、気がつくことがある。かつて、若い世代は「クールなのがかっこいい」「熱いのはダサい」と思われていたはず。「草食系男子」「悟り世代」などというワードが流行ったこともあった。そんな雰囲気は、OCEAN TOKYOには微塵もない。
「自分で人生を選んでいるか?」「夢を叶えよう」「無限の可能性」……“大人”になってしまった者たちには、少々気恥ずかしくなるくらいの言葉が、そこには並ぶ。しかし、それは実のある言葉だ。勇気づけられ、意を決してサロンに足を運び、「変わる」体験をする。そして、彼らはTwitterなどSNSでその感激を伝え、OCEAN TOKYOの輪は拡がっていく……。その流れがあって、今のOCEAN TOKYOの盛り上がりがある。実際、OCEAN TOKYOでのカットで得た感動をもとに、美容師になることを決めた現役スタイリストもいるという。
髙木氏は、男子たちに向けてこう言う。「オレらはこんだけ真剣にやってきたからこうなれた。“あの人たちだから”こうなれたんじゃない。僕らもふつうの人間です。支えられながら、願い続けたからこそここまでこられました。人生というドラマの主人公は“自分”。やりたいことを精一杯やりましょう」
自らの叶えたい事を追いひたすらに前向きな彼らと、それに心動かされ、励まされ、憧れる若者たちが大勢いる。世間を見渡せば将来を悲観したくなるニュースに溢れているが、この国もまだまだ大丈夫。きっと今日もどこかで、迷える男子たちが救われて、新たな一歩を踏み出しているに違いない。
(インタビューはすべて『OCEAN TOKYOのメンズヘアBOOK』より)
(ヨシザワ)
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¥968(税込)
(2016.03.14発売)
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