男子フィギュア世界への扉が開 ...
FIGURE SKATING BEST SCENE 3
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2016.08.04
吉田沙保里選手、伊調馨選手の女子史上初の五輪4連覇への期待がかかる女子レスリング。特に、吉田沙保里選手はCMやバラエティ番組の出演など、見ない日がないほどのスター選手といってもよいだろう。
ところで、長い歴史の中では、意外なあの人もレスリングのスター選手だったらしい?
古代オリンピックといえば、裸で戦う男たちの彫刻やレリーフが頭に思い浮かぶほど、レスリングの印象は強い。ギリシア文明以前のシュメール文明(初期メソポタミア文明)にも痕跡があり、紀元前3000年には、すでにあったとされる。ギリシア時代のレスリングは、当時の市民(奴隷を使う貴族階級)にも人気があり、文武両道の気風があったそうだ。
ギリシア哲学の大哲人であるプラトンも、実はレスリングに長けていたという記録がある。背が高く体格が良かったため、レスリングの師匠に『プラトン(幅が広い)』と呼ばれ、これが通り名になった。
写真/ゲッティ イメージズ
レスリングといえば、体にぴったり張り付く独特な試合着が印象的だ。名前は『シングレット』といい、上下一体型のワンピース型。公式戦では赤・青の2種があり、コーナーと同色を着用する決まりになっている。古代は裸で戦っていたことを考えれば、肉体美を強調するあのデザインも納得できる?
少し前まで、男子は乳首が見えるようなローカット型デザインだったが、現在の選手の感覚ではさすがにカッコイイともいえず、近年は胸まで覆うハイカット型になっている。それでも、練習で着る選手は少なく、もっぱら短パンやスパッツにTシャツだという。
レスリングには、プロレスもある。しかし、プロレスとアマレスには、同じ『レスリング』とは思えないほどのギャップがある。もともとは同じスポーツを起源としているが、分化・発展の流れが違うのがその理由だ。
レスリングは近代的なスポーツとして整理される前に、多くのスタイルに分化していた。この中でも、現在のフリースタイルにつながるものがイギリスからアメリカに渡り、19世紀に独自の発展を遂げた。そこからプロレスへと進化していったのだ。
この時代のレスラーに、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンがいる。身長193㎝と当時としては巨漢だった彼は、若き日にはレスラーとして知られた。ならず者の首領とレスリング(今でいうプロレス)で対戦し、引き分けたこともある。豪腕かつ豪胆な面が、大統領としての資質にもつながったのだ。
こうして、アメリカで生まれたプロレスは、サーカスの見世物のひとつになるなどし、ショー的要素を色濃くしながら発展していく。メキシコに渡って、『ルチャ・リブレ』として根付き、日本では力道山のブームから大きな市場となる。以降、アメリカ、日本、メキシコの3国はプロレス大国となっていったのだ。
(編集 M)
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