30kmの壁は怖くない!
フルマラソン完全攻略法
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2016.08.02
撮影/中井敦彦(SPORTS PRESS)
柔道といえば、日本のお家芸。かつては、たくさんのメダルをもたらしてくれた種目であり、多くの有名選手がキラ星のごとく輝いていた。いやがおうにも盛り上がるオリンピックシーズンを前に、知っているようで知らない柔道をおさらいしておこう。
中世に武士が登場して以降、その古典的な戦い方は、まず弓で射合い、次に刀や槍で戦い、最後は組み討つというものだった。戦国時代であっても、最終的には組み討ちになり、これが日本的な柔道の元になったといわれている。
戦のない江戸時代になると、武器での戦いが剣術になっていくように、格闘技も柔術となって多くの流派ができていく。
明治になって、この柔術を体系化したのが嘉納治五郎だ。彼はこれを『柔道』と名付け、『講道館』という道場で教えるようになる。その後、警察学校で教えられていた古い柔術と、この講道館柔道が試合をすると、講道館側が勝利。こうして、柔道は警察学校で、次いで学校教育で導入され、全国的に広まっていった。さらにオリンピック種目として採用されると、競技人口も増えていった。
柔道着の色は伝統的に白だった。だが、海外で青い柔道着の選手が登場すると、「見やすいじゃないか」「テレビ受けがいいかも」と採用の動きが加速。日本側は伝統の白を推したが、1997 年、国際柔道連盟がカラー柔道着の導入を決定した。『白球』で高校野球をイメージしたり、『中学生の靴下は白!』と決めつけたり、よく考えれば日本人は白に不思議なこだわりを持っている。ここに具体的な理由はないから、『見やすい』『テレビに映える』という論理的説明には勝てなかったのだ。
柔道は日本で生まれたものだから、『世界一の柔道大国は日本!』と思ってしまう。しかし、日本の柔道人口は年々減り続け、2015年は16万人。これに対し、世界の競技人口を見ると、1位はフランスで56万人、次はドイツで18万人だ。イタリア、スペイン、モンゴルも10万人ほど。各国の人口が日本より大幅に少ないことを考えると、いかに日本での人口が減っているかがわかる。
オリンピックで活躍した選手には、日本オリンピック委員会(JOC)がメダルごとに一律の報奨金を贈っている。
だが、JOCとは別に、各競技でパートナー企業や競技団体からの報奨金が設定されている。ロンドン・オリンピックの水泳では、金メダル獲得者にパートナー企業から3000 万円、競技団体から200 万円が贈られた。だが、柔道はこれがゼロ。「日本の競技だから、メダルを獲って当たり前」という理由ともされるが、あまりの格差に涙が出てくる。ちなみに、リオではJOCからの報奨金が金メダルのみアップするそうだ。
今や競技人口では海外勢に押され気味の柔道だが、リオ・オリンピックではお家芸の名に負けない熱い戦いを期待したい。
(編集 M)
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