連合軍の“助っ人”戦闘機
カーチスP‐40ウォーホーク
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2016.12.16
第二次世界大戦の日本の名戦闘機といえば、零式艦上戦闘機。その零戦(ゼロ戦)のエースとして有名な故坂井三郎氏の著書によると、空戦で一番大切なのは『目の良さ』だったという。とにかく先に敵を見つけて、後ろの上という有利な位置を取った方が勝つということだ。
それでもやむを得なく巴戦になった時に有利なのが、その零戦の旋回性能の高さだったという。
この動画に収録されている零戦は、ロシアで『新造』されたもので、図面をもとに寸分たがわぬレプリカとして、素材もまったく同じ超々ジュラルミンを使って製造されている。ただし、エンジンだけはレプリカを作れないので、米国製のP&W R-1830-75ツインワスプを搭載している。
戦後70年経って、整備されているとはいえ全開で飛ぶことは出来なくなっているレストア零戦に対して、この新造零戦は本気で飛んだ時の零戦の性能を発揮できる。
泣かせるのは、我々がよく知っている大戦末期の劣勢になった頃の52型(排気管が突き出し、翼端は短く切られて、迫力はあるが武骨)ではなく、零戦が優勢だった頃の、主翼の長い優美な21型を再現している点だろう。『これぞ本来の零戦!』とヒザを叩くマニアも多いのではないだろうか?
その時代の零戦の好敵手といえば米軍のF4Fワイルドキャットだろう。
上の動画では、巴戦の状態になった零戦とF4Fワイルドキャットがどうなるかが収録されている。もちろん、F4Fワイルドキャットは現存するレストア機だ。
空中戦では、機銃を撃てる位置、つまり敵の後ろにつこうとじゃれあう猫の様にクルクル旋回しながら争う。操縦桿を目一杯に引いて、速く小さく旋回しようとするわけだ。たとえ、後ろにつかれそうになっても、機体の旋回半径が小さければ、回っているうちに敵の背後を取ることができる。
旋回Gに耐えながら、操縦桿を引き続ける我慢較べの果てに、敵の背後につき、20mm機銃の引き金を絞る時、零戦のパイロットは何を思ったのだろうか?
同時期に作られた飛行機として、流麗な零戦と武骨なワイルドキャット。しかし、こうやって様々な部分を見ていくと、胴体に引き込むユニークな引き込み脚、大胆にも後方に折り畳める主翼など、ワイルドキャットなりの工夫も興味深い。
過去の歴史の一節となって今でも、そこから学ぶべきことは色々とありそうだ。
(村上タクタ)
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