本づくりの原点がここに。
しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社 センジュ出版
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2017.05.28
「生きてるだけでまるもうけ」。タレントの明石家さんまさんの座右の銘で、娘さんのIMALUさんの名前の由来としても有名になった言葉です。この言葉の裏には、さんまさんの凄絶な生い立ちも関係しているとも言われています。
この「生きてるだけでまるもうけ」は、実はある禅僧の教えでもあります。その僧侶とは、鎌倉の建長寺の開山、つまり初代住職となった蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)です。建長寺の宗務総長を長くつとめられた高井正俊師によれば、蘭渓道隆のこんなエピソードが今に伝えられています。
ある日のこと、一人の武士が蘭渓道隆のもとを訪れたそうです。
武士「昨日、ひどい戦いに巻き込まれてしまい、あわや死ぬところでした。今も怖くて仕方がありません。どうしたら良いのでしょうか?」
蘭渓道隆「あんた、屋敷からこの庵まで、どうやって来たのだ?」
武士「屋敷からお寺の山門までは馬に乗ってきました。山門で馬を下りて、この庵までは歩いてまいりました」
蘭渓道隆「それで良いじゃないか……」
要するに蘭渓道隆は、武士に「今、現に生きていることこそ全てだ。それ以外に何を求めるのだ」ということをさとしたのです。つまり、この教えを現代流に言いかえれば「生きてるだけでまるもうけ」になるというわけです。禅はシンプルで自由、そして現実的です。スッと心に心に響く「生きてるだけでまるもうけ」は、まさに禅の極意とも言える言葉なのです。
(出典:『日本のリーダーはなぜ禅にはまるのか』(著者:正木晃))
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