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PREPPY 2020年6月号
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2017.06.06
私たちの腸には約1000種類、約1000兆個もの菌たちが生息している。「菌」と言われるとギョッとしてしまうかもしれないが、腸の中で生態系のようなものを作る腸内細菌と上手に付き合うと、健康面でも美容面でも、私たちの体にたくさんのメリットを与えてくれるのだ。
腸内細菌は大きく分けて、良い働きをしてくれる「善玉菌」と悪い働きをする「悪玉菌」、そしてその時々によって働きを変える「日和見菌」に分類される。それらの菌たちの生態系、いわゆる「腸内フローラ」のバランスを整えることでダイエットや美肌、お通じの改善などの効果が見込めるのだ。それでは食事で腸内フローラに大きな影響を与える「菌」を取り入れる『菌活習慣』、その始め方をご紹介しよう。
腸は「第2の脳」「肌は腸を映す鏡」などともいわれ、体の中でとても重要な場所として知られている。脳と腸は神経伝達物質を通じてつながっているため、互いの状態が影響しあうといわれている。ストレスを感じたり、不安があると腸の動きも悪くなってしまう。腸内環境のバランスを整えることは、健康維持のために大変有効なことなのだ。腸内環境を整えるには、悪玉菌より善玉菌を優勢にすることが必要で、すでに生息している善玉菌を育てることに加え、善玉菌を多く含む食品を意識してとることも効果的な方法だ。
では普段の食事に善玉菌、つまり主に発酵食品を取り入れると具体的にどういうメリットがあるのだろうか?
菌はまず私たちの腸内環境に変化をもたらしてくれる。たとえば、食物の分解を促し、腸の消化や吸収を助けるだけでなく、過剰な食欲を抑えてくれる効果がある「短鎖脂肪酸」を作ってくれる。さらにインスリンの感受性を改善、脂肪の蓄積を抑制するので、ダイエット効果も期待できる。
加えて菌は女性ホルモンの生成を助ける働きもある。腸内環境が整うことで便秘が解消されるため、肌荒れも改善。ツヤのある美しい肌を目指せる。ほかにも腸内細菌が病原菌の侵入を防いでくれたり、ビタミン、ミネラルなどの体に必要な栄養素を作る働きも。菌はまさに美と健康を保つ手助けをしてくれる、ありがたい存在なのだ。
では実際に必要となる善玉菌とは具体的にどの菌なのか? 食品例とともに代表的な6種類の善玉菌を見てみよう。
乳酸菌は、動物の乳に生息する動物性乳酸菌(ヨーグルト、チーズなど)と植物性乳酸菌(漬けもの、キムチなど)に大きく分けられる。乳酸菌が増えると腸内環境がよくなって免疫力がアップする。便秘が改善するため、美肌効果も得られるが、そればかりでなく風邪などのウイルス性の病気を予防したり、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー症状を予防、緩和したり……とありがたい菌なのだ。
★乳酸菌が含まれる食品例
・ヨーグルト
・チーズ
・漬けもの(ラッキョウ、高菜漬け、しば漬け、たくあん、野沢菜漬けなど)
・キムチ
酵母菌は英語では「イースト」と呼ばれ、各種アルコールの醸造に利用されることで知られる菌。用途によってビール酵母、ワイン酵母、日本酒酵母、などに分類される。パンも同様の原理で、生地に含まれる糖を酵母菌が分解することで発酵する。
また、酵母は人間に必要な必須アミノ酸を含み、ビタミンB群が豊富なため、体内でエネルギーを作り出したり、代謝のサポートもする。ビール酵母には免疫力を高めるβ-ログルカンが含まれている。くれぐれも免疫力がアップするから……なんて言い訳して、飲みすぎないように要注意!
★酵母菌が含まれる食品例
・ビール、ワイン、日本酒、焼酎など
・パン
・イカの塩辛
みそに代表される食品に入る麹菌は、米や大豆などを煮たり、蒸したりしたときに繁殖する糸状菌(なんとカビ!)の一種。麹菌にはいろいろな種類があり、かつおぶしに含まれる「鰹節菌」も麹菌の一種だ。でんぷんをブドウ糖、タンパク質をアミノ酸に分解するため栄養素の吸収率がアップしたり、分解されたブドウ糖は乳酸菌が増えるのを助けてくれるので腸内環境の改善にも貢献してくれる。ほかにも、うま味の素であるアミノ酸を生成し、食材をやわらかくおいしくする効果があったり、たっぷり含まれた酵素によってビタミンが生成され、美容効果も期待できる、などいいことづくめ!
★麹菌が含まれる食品例
・みそ、しょうゆ、みりん
・甘酒(米と米麹を発酵させたもの。酒粕で作るタイプは該当しない)
・かつおぶし
酢酸菌はエタノールを酸化して酢酸を生成する細菌類の総称。ワインに加えるとワインビネガー、シードルに加えるとりんご酢といったように、原料となる穀物や果実から醸造したお酒に酢酸菌を加えて酢酸発酵させることで、酢になる。酢以外にもナタデココやカスピ海ヨーグルトにも含まれている。
★酢酸菌が含まれる食品例
・酢(穀物酢、米酢、りんご酢、黒酢、ワインビネガーなど)
100℃でも死滅しないといわれ、低温にも強い。自然界の中でも「最強の菌」といっても良いほどの納豆菌。酸性やアルカリ性どちらにも強く胃酸にも負けないため、生きて腸までたどり着くことができる。また、乳酸菌を増加させる働きも。納豆菌と対照的に熱に弱い乳酸菌の減少を食い止めるためのフォローもしてくれるのだ。
★納豆菌が含まれる食品例
・納豆
ダイエット効果が高い菌として知られる酪酸菌。定期的に摂ることでやせ体質に導いてくれる。他にも、腸内フローラに酪酸菌が多いと、アレルギー症状などの緩和や免疫力の向上に効果があることがわかっており、美容・健康業界でいま注目の集まっている菌だ。ぬか漬けにはこの酪酸菌のほか乳酸菌も含まれている。野菜をそのまま食べるよりも栄養価がアップするので、ぜひ積極的に取り入れたい。
★酪酸菌が含まれる食品例
・ぬか漬け
こうしてみると、善玉菌を多く含む食品は意外に日々の食事に取り入れやすい食材ばかりだと思わないだろうか? 菌との相性は人それぞれなので、例えばヨーグルトの場合、ひとつの菌を3~4週間ほど続けてみよう。試してみて体調の変化を感じなければ、別の菌に。体は変化しているため、菌との相性も変わっていく。どれが自分の体に合っているかわからない時はいろんな種類を試してみるのが一番だ。健康と美に磨きをかける『菌活習慣』、ぜひ気負わずまずは始めてみよう。
(ヨシザワ)
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