The PGA Show
EVEN(イーブン) 2018年4月号 Vol.114[付録あり]
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2018.02.27
『醸すぞ〜!』と、微生物達が活躍するコミックス『もやしもん』を読んでいた方はよくご存じの通り、人類の食生活は『発酵』によって支えられてきた。
たとえば、酵母によるパンの発酵もそうだし、アルコールの醸造も、茶葉から紅茶を作るのも、チーズや、ヨーグルトができるのも、すべて『発酵』の作用を活かした食べ物だ。
日本人の食生活にも発酵は深く関係しており、日本酒はもちろん、味噌も、醤油も、納豆も、みりんも、かつお節も、漬物も、塩辛も、魚醤も、ふな鮨も、くさやも、豆腐ようも、発酵食品である。発酵がなければ、朝のお味噌汁も、晩酌も、存在しないということになる。
焼いたり、茹でたりという単純な調理に対して、発酵食品の製造には手間ひまがかかる。温度管理が難しかったり、他の微生物を排除するための工夫が必要だったりと、複雑なノウハウが必要なのである。しかし、発酵によって、元の食材より保存性や栄養価が上がったりするし、何より『うま味』成分が生じたり、独特の香りや、強いクセが生まれ、それが我々を強く魅了してきた。
つまり、複雑で個性的な『食文化』そのものを醸成してきたのである。
そんな日本食に深く根ざした『発酵醸造文化』の未来を考えるイベントが開催されている。2017年の1月には、東京青山の国際連合大学において『発酵醸造未来フォーラム(Fermentation Future Forum/略称:F3)』が開催された。このイベントを継承し、今年は3月9日、10日の2日間、歴史ある国の重要文化財である『旧醸造試験所第一工場(赤煉瓦酒造工場)』において『発酵醸造未来フォーラム 東京’18』が開催される。
2日に渡って開催されるトークセッション『Future Talk』では、日本の発酵文化について深い見識を持つ有識者によって、日本食の未来についての講演がいくつも行われる。登壇者は、IT起業家のドミニク・チェン氏、フードエッセイストの平野紗季子氏、ミシュラン2つ星レストラン『レフェルヴェソンス』シェフの生江史伸氏、新政酒造8代目の佐藤祐輔氏、発酵学者の小泉武夫氏などが予定されているという。
また、カンファレンスの他に発酵醸造を味わえる『Fermented Yatai(屋台)』が用意されるという。日本の食材・発酵技術を組み合わせたたことで話題の『Restaurant Kabi』や『Salmon &Trout』などの出店が予定されている。
入場には、事前のチケット購入(1Dayパス一般7500円、2Dayパス一般1万300円など)が必要。詳しくはサイト(http://fermentationfutureforum.org/)を参照のこと。
(写真は会場の『旧醸造試験所第一工場』以外は、前回2017年1月の『発酵醸造未来フォーラム』より)
(村上タクタ)
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