ランナーボディを目指せ!
ランナー筋トレ
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2018.06.05
認知症予防に筋トレが効果的という研究結果があります。「認知症は脳の病気のことでしょう? 筋肉とは関係ないんじゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、意外にも深い関係があるのです。
現在、日本にはアルツハイマーなどの認知症患者が約500万人いるといわれています。現時点では、残念ながらこうすれば認知症にならないという方法はありません。
しかし、さまざまな研究が進み、どうすれば認知症になりにくいかということが少しずつわかってきています。そのひとつが運動です。運動をすると全身の血行がよくなって脳に十分な血液が行き渡り、脳細胞が活性化するといわれています。
下のグラフは、自転車をこいでからストループテストをおこなった人と、運動をしないでおこなった人を比較したものです。
ストループテストにはさまざまな方法がありますが、主に用いられているものには、『赤』『青』『緑』などの色名の単語の意味するものとは別の色で書いているものに対し、単語ではなく印刷した色を読んでいく課題です。
このテストでは、前頭前野の働きをチェックできるのですが、運動をすると反応が約0.07秒速くなり、運動をしないと反応が約0.025秒遅くなるという結果が出ています。
グラフ出典 : Acute moderate exercise elicits increased dorsolateral prefrontal activation and improves cognitive performance with Stroop test Hiroki Yanagisawa, Ippeita Dan, Daisuke Tsuzuki,Morimasa Kato, Masako Okamoto,Yasushi Kyutoku, Hideaki Soya NeuroImage 50(2010) 1702-1710
一般的に血行改善には有酸素運動が有効だとされていますが、軽い筋トレも全身の血行をよくする効果があるため、認知症の予防に役立つことが期待されます。
さらに筋トレには、姿勢がよくなる、ホルモン分泌を促して若々しくなる、活動的になるなどたくさんのメリットがあります。中高年こそ、意識して日々の生活に取り入れたい習慣なのです。
よく時間内に横断歩道や踏切を渡り切れないお年寄りを見かけますが、何もしなければ、筋力は低下の一途をたどります。将来歩けなくなり、寝たきりの老後が待っているかもしれません。
一方、正しく鍛えれば、筋肉量は何歳になっても増えることが証明されています。実際に80歳でマスターズアスリートとして世界で活躍している方もいます。中には本格的に運動をはじめたのは還暦をすぎてからというマスターズアスリートも。運動に限っては、年齢は関係ありません。鍛えれば鍛えるだけ、筋肉は応えてくれるのです。
認知症を予防し、さらに老後の時間を充実したものにできる筋トレ。今日から始めてみませんか?
●監修:向井直樹先生
筑波大学准教授(外科系スポーツ医学)。筑波大学医学専門学群卒。日本陸上競技連盟医事委員会副委員長。日本体育協会公認スポーツドクター。整形外科医として診療も行う。
(出典:『老けないカラダを作る筋トレBOOK』)
(編集 M)
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