シェフが伝える、肉のすべて。
肉 Complete
© 1999-2019 Ei-Publishing Co.,Ltd.
2018.10.01
日本人にとってラーメンほどファンが多く、そしてこだわりの強い食べ物もないのではないか? 新しいラーメンが次々開発されブームを巻き起こしている。そんな中、アメリカ・サンフランシスコで展開され爆発的な人気となったラーメン店が新宿に逆輸入出店となった。今回はそんなインパクト抜群のラーメンを紹介しよう。
新宿ミロードの7階に2018年7月、ラーメン店『メンショー サンフランシスコ』がオープンした。ミシュランUSAに2年連続で掲載されており、その逆輸入2号店だ。何と言っても注目すべきは「和牛らぁめん」。和牛チャーシューがドゥラっと一枚のっている。
「和牛らぁめん(1950円)」、その肉は鹿児島で飼料作りから食肉加工までを一気通貫で行う「カミチクグループ」から仕入れるA5ランクの黒毛和牛だ。麺は岩手県の小麦「ユメチカラ」にスーパーフードのキヌアを練り込んだもので、スープは鹿児島県産の鰹節と黒毛和牛のゲンコツなどから取った出汁を合わせる。トッピングのメンマは沖縄県産で、塩漬けされたものを3日間水に戻し使っている。
チャーシューの上には、高知県産の土佐柚子と、香川県小豆島の「かめびし醤油」の3年熟成粉醤油が。口の中を柚子でさっぱりとさせながら、粉醤油でさらにコクを出す。もう、単なる和牛ラーメンにあらず。素材にこだわり、味わいを追求し、見た目にインパクトを与えた、完成された一杯なのだ。
クリーミーな中に、ほのかな渋みを感じる。豆乳を使ったスープは、さっぱりとしていて、ヘルシーだ。また香ばしさを増すためのクルミや、西海岸の要素というべきザクロの粒がスープから顔を覗かせ、女性が喜ぶ一杯に。
じっくりマリネされた鹿児島産黒毛和牛の一枚肉
鹿児島県産の黒毛和牛のリブ芯(リブロースの中心部分)は、口当たりを良くするために、余分な脂はカット。はちみつ、レモン、香味野菜などで半日間マリネした後、7時間30分低温調理を施す。その後スパイスを振り、直火で炙っている。
王道味付けの旨味たっぷり豚バラチャーシュー
大きな一枚シートで入荷する豚バラ肉を1/4サイズにカットし、さらにチャーシューサイズに切り分けられる。醤油やザラメ、リンゴにはちみつといった王道の味付けがなされ、バーナーで炙られてから丼の上に二枚のせられる。
『メンショー サンフランシスコ』は、ラーメンクリエーター・庄野智治さんが展開する『麺や庄野』グループのひとつだ。「最初はアメリカで、日本の食材を使ったラーメンを作ろうと考えましたが、食材の調達が難しい。そのため現地の食材で代用したところ、これがとても美味しい。僕にとって『本物のラーメンとは何か?』と考えた時、やはり丼の中で旨味が爆発するもの、と思います。そのため、現地の食材を使いながら、日本の出汁文化を発信するメニューを考えました」。この味が人気となり、現地ではクール(かっこいい)な食べ物として認知される。高感度な人こそ、好んで食べるというラーメンの「クール」な要素を、今度は日本に逆輸入した訳だ。
「日本でのラーメンは、化学調味料が多いとか、女性ひとりでは入りづらいといったイメージがあります。そこを払拭させ、ラーメンをスタイリッシュな食べ物としてイメージアップさせることで、裾野を広げて行きたいんです」。その想いから日本出店では、高感度な女性が集まる駅ビルのレストランフロアに店を構え、大理石の大きなU字型のカウンターと木製のテーブル席という、一見するだけではラーメン店とは分からない内装で勝負している。
いかがだろうか? 『メンショー サンフランシスコ』のラーメンは、誰だって見た目と味わいの驚きを拡散したいラーメンだ。ぜひ一度、足を運んでみてほしい。
【DATA】
●MENSHO SAN FRANCISCO
住所:東京都新宿区西新宿1-1-3 新宿ミロード7F
電話番号:03-3349-5874
営業時間:11:00 ~ 23:00
定休日:新宿ミロードに準じる
(出典:『#肉部』)
(ヤマダタケシ)
この記事を読んだ人におすすめの記事
あわせて読みたい
この記事を読んだ人におすすめの本