この春、欲しいアイテム
YOLO.style vol.07
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2018.10.29
よく「お酢を飲むと身体が柔らかくなる」といいますが、実は、そのようなエビデンスはないのだとか。意外ですね。でも、「お酢はさまざまな健康効果がある」というのは本当で、科学的な裏付けもあるのだそうです。では、具体的にはどんな効果があるのでしょう。
その万能ぶりを、TVや雑誌等でも活躍中の『ミスターお酢』こと東京農業大学名誉教授・小泉幸道先生がレクチャーしてくれました。これを読めば、今日からでもお酢生活が始めたくなるはず! 生活習慣病に悩む人は絶対に見逃せません。
お酢は、穀物や果実などの原料をアルコール発酵させたものに酢酸菌を加え、発酵させた調味料です。わかりやすくいえば、日本酒やワインのような醸造酒をさらに酢酸発酵させたと考えていいでしょう。
まだ、細菌という存在が知られていなかった時代にも、酢酸の抗菌作用によって、お酢を使うと食べ物が腐りにくいことは知られていました。また、食欲が増すことも認識されており、健康にいいというイメージは、そんな中で生まれてきたのです。
近年ではそんなお酢のイメージに科学的な裏付けもされるようになります。よく知られていた疲労回復の面では、グリコーゲンの再補充効果が高くなることがわかりました。そして、血圧上昇に関するホルモンの働きの抑制、および血糖値の抑制に効果的なこともわかってきました。
血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことですが、これが高くなりすぎないようにするのが、すい臓でつくられるインスリンの働きです。
通常は食後にインスリンが働き、脳や筋肉にブドウ糖が送り込まれエネルギーとなります。でも、食べ過ぎてブドウ糖の過剰供給状態になると、すい臓はインスリンをフル回転でつくることに。しかし、細胞に取り込める量には限度があります。やがては血液中にブドウ糖があふれ、インスリンもうまく働かなくなり、食べても細胞にブドウ糖が届かなくなる状態が糖尿病です。
こうならないために、急激な血糖値上昇を抑制する必要があります。つまり、どうすればいいかというと、ゆっくり、よく噛んで、食べ過ぎないことです。
でも、働き盛りの時期は、そうもいかないことが多く、身に付いた習慣はなかなか修正できませんね。
そこで食事にお酢をとり入れることをおすすめします。ミツカンが行った臨床実験では、食事に大さじ1杯(15ml)のお酢をとり入れた場合と、そうでない場合とでは、ピーク時の血糖値に10%以上の差が出ました。酢の酢酸が胃から小腸へ食物が送られる量を抑え、小腸での吸収が緩やかになるからだと考えられます。
この結果は酢を入れた飲料であっても、酢の物であっても近いものでしたので、自分に合ったお酢の摂り方を選んでいいわけです。
もちろん、お酢を入れるからといって、食べ過ぎていいわけではありませんが、毎食、大さじ1杯のお酢は、糖尿病予防の大きな味方になってくれるのです。毎食が難しければ、1日に大さじ1杯(15ml)でも、健康効果は現れるでしょう。
たった1杯なら、何とかなりそうな気がしてきませんか? お酢には、ほかにも便秘解消や内臓脂肪減少などの効果が知られており、生活習慣病に悩む現代人には、積極的に摂りたい食品なのです。
●小泉幸道先生
東京農業大学名誉教授。1973年、東京農業大学醸造学科卒業。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的成分変化と機能性に関する研究を行う。1987年に日本缶詰協会逸見賞を受賞。2001年、2009年に日本農芸化学会論文賞を受賞。著書に『酢で健康になるレシピ』(NHK出版)ほか、テレビ出演も多数。
(出典:『自分で治す 高血圧・高血糖・糖尿病』)
(編集 M)
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¥968(税込)
(2018.09.28発売)
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