愛すべき地元のすべて。
持ち歩ける横須賀本
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2018.11.14
日本は四方を海に囲まれており、大小さまざまな島から構成されているというのは、誰もが知っている。だが、その数となると、正確に把握している人は少ないかもしれない。
『日本統計年鑑』(総務省)によれば、日本の島の総数は6852。このうち住民がいるのはおよそ400島にすぎない。割合にすると6%弱にあたり、残りの94%の島に住民はいない。そのなかには漁期だけ漁師が暮らす島や農家が畑をもっている島、神社に神主がいる島、自衛隊や気象庁の駐在員がいる島もあるが、多くは無人島である。
住民のいない無人島でも釣り客や観光客に人気の島がある。例えば、神奈川県横須賀市の猿島は1日9便もの定期船が行き来する人気の島だ。『軍艦島』の名で有名な長崎県高島町の端島は昭和40年代まで炭坑として栄えた島で、建造物がひしめく軍艦のような景色が注目され、2015年7月に『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』の一つとして世界文化遺産に登録された。長崎県五島列島の野崎島は、今はほぼ無人島だが、キリシタンの教会や見事な石積みの段々畑が残る。
なお、たとえ無人島でも土地の所有者がいる。尖閣列島の魚釣島は個人所有だったが、国が買い取って国有地になった。
ところで、行政の必要から国が定義する『島』は『周囲100m以上の天然の陸地』である。この定義だと、教科書でおなじみの、日本最南端に位置する沖ノ鳥島は単なる岩礁にすぎず、周囲の広大な経済水域も認められないことになる。しかし、国際的な取り決めでは、満潮時に水没しない陸地なら島だから問題はない。ただし、天然の陸地でないと認められないので波がぶつかったりして沈まないように、鉄板などで囲って補強している。
ちなみに、日本の最東端は南鳥島。太平洋の珊瑚礁の島で、東京都小笠原村に所属するが、住民はいない。しかし、海上自衛隊の基地や気象庁の気象観測所があり、職員が常駐している。台風シーズンには天気予報でおなじみだ。住民がいる最東端は北海道納沙布岬である。
最西端は沖縄県の与那国島で約1500人の住民が暮らしている。東シナ海に連なる南西諸島の端だ。沖縄本島から南西に約500km離れており、台湾の台北のほうがずっと近い。珊瑚礁の美しい海に恵まれてダイバーに人気の観光の島だが、尖閣諸島にも近く、国土防衛の先端の地でもある。
そして、最北端は北方領土の択捉島である。しかし、太平洋戦争の敗戦後に旧ソ連軍(現在のロシア)に占領され、いまだ返還されていない。周辺の海はタラ、カニなどの豊富な漁場で日本の漁船も近海に出漁し、たびたび拿捕される事件が起こった。近年はロシア漁船で水揚げされた魚介類が多く輸入され、北海道根室市の漁港が取引の基地にもなっている。北方領土を除く北端は北海道稚内市の宗谷岬沖の弁天島である。
最東端の島 南鳥島(東京都)
本州から1800kmの太平洋上にある。1辺2kmほどの平たい正三角形の島で、自衛隊や気象庁の駐在員のための飛行場がある。浅い珊瑚礁に囲まれているため、船は接岸できない。
最西端の島 与那国島(沖縄県)
島全体が沖縄県与那国町で住民数1710人(2018年6月末)。領土問題で緊迫する東シナ海にあり、自衛隊基地の建設をめぐって町民の意見の対立も見られる。
最南端の島 沖ノ鳥島(東京都)
東京から1700km、小笠原諸島からでも900kmほどの絶海の珊瑚礁にある。あまりの遠方で漁場としてもあまり利用されてこなかったが、カツオ、マグロなど豊富な漁業資源がある。周辺の海底資源の採掘はまだ困難だが、漁場として期待されている。
最北端の島 択捉島(北海道)
日本はロシアに返還を要求しつづけている。かつては日本人が暮らしたが、戦後、ロシア人が入植して暮らしつづけていることも交渉を難しくしている。
(沖ノ鳥島・写真:国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所/http://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/keihin_index005.html)
(出典:『もう一度学びたい 地理』)
(編集 M)
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