恐怖から貴方は抜け出せない
珍奇植物生態入門
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2019.01.01
悲しいことに、毎年お正月には、お餅をのどに詰まらせる窒息事故が起こります。高齢になり飲み込む力が低下すると、ふとしたはずみに誤嚥してしまうことがあるのです。
お餅のように『モチモチ』とくっつきやすい食べ物は誤嚥する可能性が高いもののひとつですが、他にも『サラサラ』『ペラペラ』『ボロボロ』『パサパサ』した食品は、ムセたり、のどにつかえたりしやすい傾向にあります。
『サラサラ』とは、水やお茶、味噌汁など、のどを素早く通るので誤って気管に入りやすい食品。『ベタベタ』はミキサーにかけた粥など、『ペラペラ』はのりやわかめなど。どちらものどに張りつき、あとから唾液の作用で溶け出して気管に入りがちです。
『ボロボロ』はごはん粒やそぼろなど、『パサパサ』はパンやいも類など。いずれも飲み込むときにバラつくと誤嚥を起こしやすくなります。
こうしたものを口にするときは、食べ方にも意識をします。一口の量は少なく、早食いをしないように。そして、飲み込むときは、軽く下を向く『うなずき嚥下』をします。上を向いた状態で飲み込むと、ムセたり、のどにつかえたりしやすくなります。
食事をするときの姿勢も大切です。椅子に深く腰かけて背筋を伸ばし、足の裏は床につけて食べるようにしましょう。背中を丸める、あごを突き出す、といった食べ方をすると誤嚥しやすくなります。
高齢者がムセたときは、上体を起こしたまま、水を飲ませたり、背中をトントンと叩いたりするといいといわれますが、それは誤りです。水は誤嚥の可能性があり、上体を垂直にした状態で背中を叩くと、余計に内容物が肺のほうへ入ってしまいます。
正しい応急処置は、自発呼吸がある場合、咳をさせることです。気管を水平にして咳をさせると、内容物が出やすくなります。口の中をのぞいて、詰まっているものが見える場合は、指を入れて外へかき出します。くれぐれも押し込まないようにしてください。
ムセたら気管が水平になるように上半身を倒したり、横向きにさせてから、咳に合わせて背中をトントンと軽く叩いたり、さすったりして異物が出るのをうながします。
窒息している人への対応は、脇の下から両手を入れて、肋骨とおへその間で手をつなぎ、グッ、グッと断続的に両手で横隔膜を圧迫します。これはハイムリック法といい、気道の異物を取り除きます。
誤嚥には十分に注意して、よいお正月をお過ごしください。
●監修:西山耕一郎先生
西山耳鼻咽喉科医院院長。1957年、福島県生まれ横浜育ち。北里大学医学部卒業。医学博士。東海大学客員教授、藤田医科大学教授。30年間で約1万人の嚥下治療患者の診療を行った「嚥下障害の名医」として知られる。誤嚥の予防法をわかりやすく解説した著書『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)が絶賛発売中。
(出典:『自分で治す脊柱管狭窄症・逆流性食道炎』)
(編集 M)
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