アルティメットみそ汁スタイル
最強のみそ汁
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2019.02.20
テレビの健康番組などでとり上げられている影響か、すっかりおなじみになったメニエール病。しかし、実際には、メニエール病だと誤診されているケースも多いのだとか。さらに、メニエール病に有効とされる薬はないというショッキングな事実も! メニエール病の権威・横浜中央クリニックめまいメニエール病センター長の高橋先生に詳しくお聞きしました。特に、メニエール病には有酸素運動が有効だという説は聞き逃せません!
「メニエール病とは、回転性のめまいと吐き気や嘔吐、耳の閉塞感が不規則に反復するという病気です。芸能人がメニエール病の治療のために引退したというニュースを耳にしたこともあるでしょう。名前がひとり歩きして、『めまい=メニエール病』だと思っている人が多いのですが、実はメニエール病は誤診が多く、別の病気である可能性も高いのです。
めまいメニエール病センターが開院されてから、受診された患者は、12年間で約1万1100人。そのうちメニエール病患者は約1400名に過ぎません。別の施設で『メニエール病の疑いがある』といわれ、私のクリニックを受診された患者の約9割が誤診なのです。
毎年、新患のメニエール病患者は10万人あたり7人くらいです。そして、現在メニエール病の患者は10万人あたりおそらく20〜30人前後だと考えられています。
では、なぜ誤診が多いかいうと、多くの耳鼻科医が症状だけで診断するからです。
めまいで最も多い病気は良性発作性頭位めまい症ですが、その診断基準に『耳の症状をともなわない』という一文があります。
そのため、めまいに加えて耳の症状がともなっている場合、『メニエール病ではないか』と疑われるわけです。メニエール病の症状は、数時間続く回転性めまい、吐き気、嘔吐、耳鳴り、難聴、耳の圧迫感が突然発症し、不規則に反復します。軽い難聴の場合は、メニエール病ではありません。
そして大切なことは、メニエール病は我慢強く仕事熱心な人が報われずに起こるストレス病だということです。
メニエール病はストレスが原因となるため、ストレスを溜めないように生活習慣を見直すことが改善のかぎです。特に睡眠は大切で、心労やイライラが溜まると不眠になりやすくなります。睡眠不足になると、翌日の体調が優れず、昼間の脳の活動が落ちてしまい、仕事がうまくいかないなど余計にストレスを溜めてしまうでしょう。
不眠対策として、夕食は9時までに摂ること。睡眠の最大の目的は脳を癒すことですが、夜遅く食事を摂ると、眠っている最中に消化器に血流が行き、脳の血流が減り熟睡できません。
日本ではサービス残業をしたりと長時間労働の傾向が強いですが、メニエール病の人には診断書を書いて定時帰宅をしてもらうこともあります。
さらに、熟睡するために最も効果的なのは体を疲れさせること。それには有酸素運動が効果的です。
また、有酸素運動をすることで、全身の血液循環の改善が図られ、内耳の血流が増加して代謝が活発になり、それによって内リンパ水腫が軽快し、内耳の状態が正常に戻る効果もあります。
真面目な人は仕事でも家事でも頑張りすぎてしまう傾向があります。なので、適度に手抜きをすることを心がけましょう。空いた時間を利用して趣味を楽しむなど、ストレスを発散するための気晴らしも大切です。
メニエール病に明確なエビデンスがある薬はありません。それでも、耳鼻科で処方される薬がありますが、それよりも、日々の生活習慣の改善が一番の薬になります。
少し息が上がる程度の運動を、毎日最低1時間。生活習慣を改善し、有酸素運動をすると、1〜2ヶ月でめまいは嘘のように消えます。
生活習慣を変え、何らかの症状の改善が見られたメニエール病患者338名が、どういう経過で良くなっていったかを調べた結果、診療開始3ヶ月以内にめまいは8割の人が改善しています。最終的に98%近くで消失したという結果が出ています。耳の閉塞感(つまり)は6割、耳鳴りや難聴は3〜4割の人が良くなっています」(高橋正紘先生談)
なかなか症状が改善しないという方は、生活に有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょうか? ウォーキングや、エアロバイク、水泳、腰痛や膝痛がある方は、水中歩行などがおすすめです。ただし、普段運動をしていない方は、いきなりハードな運動をすると足腰を痛める危険がありますので、最初は短時間から始め、慣れて体力がついてきたら時間をのばしていきましょう。
●高橋正紘先生
1969年慶應義塾大学医学部卒業。卒業後、同大学医学部耳鼻咽喉科入局。1975年ベイラー医科大学(アメリカ・ヒューストン)留学。1977年東京女子医科大学講師、1979年同大学助教授、1988年慶應義塾大学医学部講師、1991年同大学助教授、1993年山口大学医学部教授、1999年東海大学医学部教授を経て、2006年横浜中央クリニックめまいメニエール病センター開設。現在、日本めまい平衡医学会参与・顧問。
(出典:『自分で治すめまい・耳鳴り』)
(編集 M)
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