色で選ぶ万年筆インク!
INK 万年筆インクを楽しむ本
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2019.03.19
春です! 新しい習慣をスタートさせるにはうってつけの季節。ランニングをする、筋トレをする、家計簿をつける……身に着けたい習慣はいろいろありますが、今回ご提案したいのは、日記をつけること。デジタル全盛の今だからこそ、あえて手書きで、今日という一日を書き留めてみませんか? 文具ライター・小日向 京さんに、おすすめの日記スタイルをお伺いしました。
「日記を書くという習慣は、忙しいときほど持ったほうがいいようです。
なぜなら『いつ、何をやってどんな心境だったのか忘れてしまう』ものだからです。
あとから手帳を読み返したときに、走り書きのアポイントばかりが無造作に書き連ねられていて、その用事をしたことはわかっても、その周辺が見えてこないことがあります。私たちの大切な一日が『なんとなく過ぎてしまった一日』になることは、なんだかとてももったいないように思えてきます。
一日一日をかけがえのないものと感じながら、少しでも何かを書き記しておくと、将来日記を読み返したときに、その一日が鮮やかによみがえります。
書く内容は自由。行動記録のみを淡々と書いても良いし、そのときに感じたあるひとつのことだけを書き連ねても良いでしょう。その日記を仮に第三者に読まれることを防ぎたいのなら、読まれてもいい内容や言い回しで書くことも一案です。むしろ読まれることを想像してみると、どんな文章がそこに書いてあるのが素敵だろう? という基準で書いてみるのも、また新たな楽しさを見出せるかも知れません。
日記帳には、ロングセラーの博文館の日記が『日記気分』を盛り立てます。美しい造本と、万年筆で書いてもインクの裏抜けがなく書き味の良い用紙は、私たちに日記を綴るよろこびを伝えてくれます。
また、ダイヤメモで知られるミドリの日記も、日記生活に絶好のアイテムです。デザインフィルの1ブランドであるミドリは60年以上にわたり日記を生産し続けてきた歴史があり、日記ユーザーの望みに応えてくれる製品を揃えています。なかでも緑のクローバーを冠したハピネス日記は、日々書き込む時間を楽しみにさせてくれます。
日記は、何より私たちの大好きな筆記具を使う絶好の場となります。その日その日で思い立った筆記具やインクを使えば、あとから読み返したときにも「この頃はあの万年筆を買ってこのインクを使っていたんだな」と一目でわかります。読み返すとひたすら文具店めぐり&購入日記になっていたりして……それもまた、楽しいものです。
日付があるのは空欄ページができてしまいそうで抵抗があるときにも、自由日記やハピネス日記は心的負担が軽くなっておすすめです。縦罫、あるいは横罫が続くのみのハードカバーの一冊は、こちらも日々の覚え書きにぴったりです。
日記帳を一冊用意すると、まるで机に一つの引き出しを加えたような気分になります。その引き出しには、私たちの毎日の出来事や思いをしまいましょう。きっと開けるのが楽しみになる引き出しになるはずです」
【博文館 大型自由日記】
1887(明治20)年に創業し、出版事業を経て博文館から屋号を改名した博文館新社による日記シリーズ。「デジタルの時代だからこそ残そう、手書き文字」をテーマに、当用日記、連用日記などを毎年各種刊行している。しっかりとした造本と良質な用紙による日記には付録資料も充実しており、長年使い続ける愛用者が多い。
写真の日記帳はA5判・縦書き8ミリ罫・1ページ14行の自由記入式日記。376ページで容量たっぷり。布張りの表紙と開きの良いしっかりした造本で、表紙の箔押し柄は向きを容易に識別できる。ケースに入れて保管すると劣化も防げる。巻末に目次欄付き。定価1940円(+税)。
紙面は上部に余白が設けられている緑色の罫線。この余白が、メモの付記や文章のあらまし記録に役立つ。
背にはシンプルな魅惑書体で『日記』と箔押しがある。飾り罫ともどもクラシカルな雰囲気が素敵!
【ミドリ ハピネス日記】
ミドリは、1950(昭和25)年に株式会社みどり商会として創設された現・株式会社デザインフィルのブランド。1952年にビジネスダイアリーの受注生産を開始したのち、1960年代から日付のない自由日記の生産を始め、以来日記が主力製品のひとつとなる。連用日記の種類も豊富。レター製品で培った良質な用紙を誇る。
写真のハピネス日記は、日々の良かったこと、幸せだなと思ったことを書いてポジティブになるための日記。B6判に近いサイズ・横書き7ミリ罫。1ページ2日分で、1日はタイトル欄含めて9行書ける。192ページ・384日分。本文途中で1ページだけ、四葉のクローバーが印刷されたサプライズページもあり、書き進めていくのが楽しみになる工夫も。その日の気分で筆記具を選びたい。定価2200円(+税)
布張りの表紙の背には『Happiness』の文字が枠罫とともに箔押しされている。ラッキーアイテムのあふれる日記で、ハピネスをいつも身近に。
ページ端には日付ごとにインデックス欄が設けられている。特別な日に印を付けると、読み返すときの目印になる。内容で色分けしてもいい。
●小日向 京(こひなた きょう)
1968年東京都生まれ。共立女子大学大学院文芸学研究科修了。幼児時代から新聞書体や看板書体に興味を持ち、文字と文具に並々ならぬ関心を抱く。文具雑誌を中心に、文字を書くことや文房具について著述している文具ライター。『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)にて「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。『飾り原稿用紙』(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。
(文:小日向 京、編集:エイ出版社)
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