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大切な身内が亡くなったあとの手続きの本 2019年改訂版
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2016.02.17
桃の節句とはいうけれど、桃の花はどこを探しても見あたらない。七夕に天の川を見ようと仰いだ夜空は、梅雨の厚い雲に覆われている……このなんとも言えないガッカリ感、誰しも一度は覚えがあるのでは? ここでは、そんな節句のナゾを解くべく、日本の暦について探ってみた。
人日(七草の節句、1月7日)、上巳(桃の節句、3月3日)、端午(5月5日)、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)からなる五節句は、旧暦をベースにしたもの。これらの節句と実際の季節がズレているのは、新暦が導入された際、旧暦における節句の日付が、そのまま新暦に当てはめられてしまったからだ。旧暦と新暦の違いを詳しく見てみよう。
◎新暦(太陽歴)
季節を表す太陽の動きをもとにした暦。地球が太陽の周りを一周する365日を1年とし、4年に一度の閏年でズレを調整する。
◎旧暦(太陰太陽暦)
月の満ち欠けをもとにした太陰暦に、季節を表す太陽の動きを組み合わせた暦。月の満ち欠けを基準にした1年は約354日で、太陽暦の1年より約11日短いため、19年に7回ほど閏月を入れ、1年を13カ月にすることで季節とのズレを調整する。とはいえ、農作業や行事の目安とするには、もっと細やかに季節を把握する必要がある。そこで、太陽の動きが示す1年を24に分けた「二十四節気」や、これをさらに細分化した「七十二候」を設け、季節の指標とした。
このように、旧暦と新暦では1年の長さが異なるので、節句の日付を同じにすれば当然、そこにはズレが生じる。そのため、桃の花の咲く1カ月も前に桃の節句を祝い、梅雨の曇り空の下で七夕飾りをする、などという残念なことになってしまったのだ。
ちなみに、旧暦の節句を新暦に置き換えると、桃の節句は3月下旬〜4月中旬、七夕は8月上旬〜下旬にあたる。なるほど、これなら本来の季節感を味わうことができそうだ。
旧暦の説明でも少し触れたが、ここでは二十四節気と七十二候がどのようなものか、もっと詳しくご紹介しよう。
◎二十四節気
太陽の動きをもとに1年を24分割したもの。立春、立夏、立秋、立冬を区切りに4つの季節を設定し、それぞれの季節を6つの節気に分ける。1つの節気は約15日。
◎七十二候
二十四節気のひとつの節気を、さらに3つに分けたもの。5日ごとに「初候」「次候」「末候」と季節を移し、それぞれの季節の自然現象を3〜4文字の短い言葉で表現している。
例えば、立春から15日目にあたる2月19日〜3月5日頃の節気は「雨水」。寒さが緩んで雪が雨へと変わる、雪解けの時期を指す。田畑が潤いを取り戻し、草木が芽吹き始めるこの頃を、人々は農作業の準備を開始する目安にしてきたという。
雨水における七十二候の初候は「土脉潤起(つちのしょう、うるおいおこる)」で、大地が潤い、眠っていた生き物が目覚める様子を表したもの。次候の「霞始靆(かすみ、はじめてたなびく)」は霧やもやによって山野の景色が春めいてくること、末候の「草木萌動(そうもく、めばえいずる)」は草木に淡い緑の新芽が顔を出し始めることを意味している。
ひとつの節気を見ただけでも、季節の移ろいを細やかに感じ取る日本人の豊かな感性や知恵が感じられ、それを表現する言葉の美しさにも感心しきり。暦を知ることは、日本のよさを再確認することにもつながりそうだ。
(エイパブ編集部・ヨシダ)
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