写真をフィルムで撮る
FILM CAMERA STYLE Vol.6
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2016.03.31
せっかく撮った彼女の写真、「何だかイマイチ」「もっとキレイに撮ってよ」と叱られてしまったことはないだろうか。そんなあなたにご紹介したいのは「ボケ」のテクニック。ポートレートにおいてボケは非常に大きな役割を果たす要素だ。背景を大きくボカすだけで、やわらかい質感とともに、人物の存在感をより印象的に描写できる。ボカすには、マニュアル設定で絞りを開き(F値を小さくする)、ピントをしっかり合わせる。ブレ防止のために、必要なら三脚や一脚も使用しよう。
夕方のやわらかな逆光を利用し、背景を大きくボカしながらふんわり感を強調して撮影した。三分割構図を参考にバランスよく右側に空間をつくり、ゆったりとした空気感を演出。背景ボケにより人物が浮き上がり、非常にドラマチックな仕上がりになった。背景ボケは生じる空間の扱いが大きなテーマになる。人物の配置の仕方で写真の印象が大きく変わることを覚えておこう。
[PHOTO DATA]
絞り:F2.8、シャッター速度:1/160 秒、ISO感度:400、
焦点距離:85mm、WB:オート、露出補正:+1EV
PHOTO:河野鉄平
日暮れ後、店先の照明を背後でボカして入れ込み、バストアップを撮影。照明の玉ボケが描写に彩りを与え、表情をより印象的に見せている。このように背景ボケが大きくなるほど、きれいな玉ボケが背後で演出できるようになる。なお、ここでは空間を右側につくり、より憂いのある雰囲気を演出している。こうすることで画面に動きが出ている。
[PHOTO DATA]
絞り:F1.8、シャッター速度:1/100 秒、ISO感度:400
焦点距離:85mm、WB:5300K
※クリップオンストロボ使用
PHOTO:河野鉄平
背景ボケに加え、ぜひ試したいのが前ボケだ。前ボケはポートレートでも重宝する撮影技法だ。
今回は左側に前ボケにした葉を入れ込み、アクセントにした。花々などの植物をはじめ、電柱や建物などでも気軽に前ボケは演出できる。なお、前ボケの程度は絞りだけでなく、ボカす被写体への寄り方でも変化する。大きくボカしたければ、ボカす被写体に近づき調整するとよい。描写にアクセントがほしい場面でうまく活用してみよう。
[PHOTO DATA]
絞り:F2.2、シャッター速度:1/800 秒、ISO感度:400
焦点距離:85mm、WB:オート、露出補正:+1EV
PHOTO:河野鉄平
ボケのテクニックは、ポートレート以外にもいろいろなシーンで効果的に使うことができる。「かっこいい写真 スタートBOOK」では、ボケを利用したさまざまな作例や、ブレやアレ、構図、露出など、ちょっとの工夫でかっこよく撮れるテクニックをご紹介している。もう一歩上をいく写真が撮りたい人に、ぜひ手に取っていただきたい。
(編集 M)
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