カフェとインテリアの関係性。
東京カフェインテリア
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2016.06.13
(上)日本生まれの希少な紅茶用品種『べにほまれ』の茶畑の中に立つ、沖縄ティーファクトリー代表・内田智子さん。
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紅茶の産地というと、インドやスリランカ、中国などを思い浮かべるだろう。しかし、日本でも紅茶の生産が盛んになってきているのをご存知だろうか? なかでも特に注目されているのが、沖縄発の紅茶だ。
沖縄で紅茶? と意外に思われる方もいるかもしれないが、沖縄は、気候や風土の点で、良質の紅茶を生産できる環境に恵まれているのだと言う。沖縄紅茶人気の火付け役とも言える沖縄ティーファクトリー代表・内田智子さんに沖縄紅茶の魅力をお聞きした。
「長く紅茶バイヤー・ブレンダーとして流通に関わってきたことが、『琉球紅茶』作りのきっかけとなりました」。そう語るのは、沖縄ティーファクトリー代表の内田智子さん。1993年、紅茶関係の仕事でスリランカへ渡り、その後、約3年間、茶木の栽培から製造、テイスティング、ブレンド技術などを一から学んだ。それが今の仕事の原点となったと振り返る。
1995年には沖縄へ。スリランカと同じ赤土を見て、アッサム地方と同じ緯度だと知り、沖縄は美味しい紅茶を作る産地になれると確信したという。「紅茶は、本生産ができるまで挿し木して2年、定植して3年かかる。生産農家さんは植えて3年間は無給。紅茶産業は本当の意味で地域に根付いていかなくてはと切に思いました」。
そして2000 年より沖縄県産紅茶の製造を開始。ただし、『納得のいく紅茶ができるまで、沖縄県産茶葉100パーセントでは売らない』と決め、当初は輸入品とのブレンド紅茶で販売をスタートした。
満を持して、沖縄県産茶葉100%の『琉球紅茶~月夜のかほり~』を発売したのは2009年のこと。ミルキーでグラマラスな味は話題を呼び、東京・新宿の百貨店で行われた限定販売は、すぐに完売するほどの盛況ぶりだったという。
それから7年。人気は衰えを知らず、直営店・メールマガジン登録者・新宿伊勢丹店のみで販売するも即完売し、入手は困難。国内外の著名人にもファンが多く、欧州での高評価はドキュメンタリー番組などでも紹介された。
内田さんが語る沖縄発紅茶の人気の秘密は5つある。
1.亜熱帯の気候
有名な紅茶産地は北緯30 度以南。これは、タンニンを多く含む上質な茶葉が育つには、強い紫外線を必要とするため。日本の南端、沖縄の緯度は北緯26度。亜熱帯の太陽が美味しい紅茶を育む。
2.紅茶栽培に最適な赤土
アミノ酸を含む緑茶がよく育つのは肥沃な土壌。ところが紅茶の木は、痩せた赤土でタンニンを多く含む上質な茶葉をつける。スリランカでは、痩せた赤土のことを『神様にしか創れない奇跡の赤土』と言う。沖縄の土は紅茶に最適な赤土なのだ。
3.最上級のテイスティング技術
高度なテイスティング技術を持つブレンダーがいてこそ、常に品質が保たれる。写真一番右が『琉球紅茶~月夜のかほり~』。同じ地域の中でも、畑によって茶葉の味わいは異なる。絶妙なバランスは、蓄積された経験と技術の成せるワザだ。
4.味の決め手は“マザータッチ”
丁寧に手摘みされた茶葉は、自然乾燥され、しおれて水分が飛んだところで、優しく手揉みする。それにより茶葉の中に風味が閉じ込められていく。その手はまさにマザータッチ。確かな技術があるからこそ、高級ハンドメイド紅茶の商品化が可能になる。
5.違いを生み出す『べにほまれ』
『琉球紅茶~月夜のかほり~』の産地、金武(きん)町では、日本生まれの希少な紅茶用品種『べにほまれ』を栽培。現在は恩納村や宜野座村にも契約農家が増え、1万2000坪の茶畑を確保した。これらアッサム種は根を深く張るため、赤土の流出を防ぐ効果もあるという。
現在、契約農家には、沖縄ティーファクトリーが苗木を提供し、有機無農薬による栽培を委託している。沖縄本島から石垣島まで茶葉の農地も拡大し、2015年には日本最南端の西表島にも苗木を植えた。また沖縄県外では、高知県を皮切りに、静岡県と鹿児島県での紅茶栽培も始めるなど、ますます広がりを見せている。
〇『琉球紅茶~月夜のかほり~』
沖縄県産茶葉100%。名前の由来は、空の主役が太陽から月に交代する、夕方から夜にかけて手摘みされる茶葉を使っているため。桐箱入り40g 5000円(税抜)。
〇株式会社 沖縄ティーファクトリー
紅茶の総合プロデュース企業。オリジナルブランド『琉球紅茶』を製造・販売するほか、複数のクライアントに紅茶のブレンド技術を提供している。
TEL:098(989)7501
http://www.okitea.com
(編集 M)
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