成城学園前・千歳船橋
世田谷ライフmagazine No.73
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2018.12.13
『スーパー銭湯』ではなく、あくまで『銭湯』。古くからある、街の風呂屋。内風呂を持つ家がほとんどになり、次々と数が減っているのが寂しいが、今も頑張って営業している店もある。そして、元気な風呂屋がある街はなんだか楽しく、住みたい気持ちにさせる。世田谷は下高井戸の月見湯温泉は、そんな銭湯のひとつだ。
ノスタルジックな雰囲気漂う学生街、下高井戸。駅から徒歩6分の、閑静な住宅街の中にある『月見湯温泉』は創業から約60年間、地域の人々の癒しの場所であり続けている。
源泉水風呂・ジェットバス・電気風呂・サウナなど設備も充実。くわえて特筆すべきは区内トップクラスを誇る館内の広さ。そのゆとりある空間ゆえに、利用客は長居しやすく、年齢問わずさまざまな人がくつろげる空間を創りだしている。
「学生さんやママさん同士でいらっしゃったり、笹塚から毎日歩いて来られるお客様もいるんですよ」とは、3代目番台である近藤芳之さん。
圧倒的な広さがウリの脱衣所。
男湯にはテラスも。火照った体を冷ますことができる。
番台・近藤さんの父のアイデアで、壁画は有田焼のモザイクタイルに。
さらに、月見湯温泉では利用客間の交流がきわめて多く、なんと利用客同士の忘年会が定期的に開催されるほどなのだとか。年齢層も20代~70代と幅広い。他にも、ゴルフコンペを開催したり、風呂上がりの名刺交換で新しいビジネスが生まれたりと、枚挙にいとまがない。
「裸の付き合いで生まれたコミュニティが、また新しいコミュニティを生み、どんどん大きくなっています」と近藤さん。こういった年齢を越えた関わりは、ご年配の方の見守り効果にもなる。単なる『風呂屋』という概念を越えた『コミュニティスペース』として、地域の人々にとって大きな役割を果たしているのだ。
取材後、営業30分前にも関わらずリピーターのお客様数名が開店を待ちわびており、この銭湯の愛されっぷりを物語っていた。こんな銭湯がある街、ますます住みたくなってくる。
アルコールを含む飲み物のラインナップが充実。人気のアイスも全品100円で提供している。
現番台の近藤芳之さん。取材にも快く応じてくれた温和な人柄は、この銭湯の最大の魅力。世田谷浴場組合の支部長でもあり、自身の銭湯経営のみならず、業界全体の振興のため日々精力的に活動している。
アメニティの種類も豊富で、手ぶらでも可。銭湯ならではのレトロアイテムに、思わず興奮。
【DATA】
●月見湯温泉
住所:世田谷区赤堤5-36-16
電話:03-3321-6738
営業時間:15:30~0:00
定休日:火曜
(編集 M)
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¥922(税込)
(2018.10.29発売)
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