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ランナー筋トレ
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2016.02.16
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。まだずいぶん先の出来事のようだが、準備は水面下で着々と進んでいる。
そのひとつが、各国選手団が大会本番前に行う事前キャンプ地誘致活動だ。2002年日韓ワールドカップでは、カメルーン代表のキャンプ地となった大分県中津江村が一躍注目を浴びたように、各自治体は地域活性化の起爆剤にしたいと大きな期待を寄せている。すでに福岡県福岡市はスウェーデン、千葉県山武市はスリランカ、神奈川県横浜市・川崎市はイギリスなど、次々と事前キャンプ地が決定。さらに400もの自治体が名乗りを上げている。
そんななかいち早くキャンプ地誘致に成功した自治体のひとつが東京都世田谷区。ここをキャンプ地として決めたのは人数、種目ともに世界一の規模になるであろうアメリカだ。世田谷区役所のスポーツ推進担当部オリンピック・パラリンピック準備・スポーツ施設整備計画課長の玉野宏一さんに話を伺ってみると、アメリカチームにとって世田谷区の提案がかなり理想的であったことが分かる。
「ポイントは3つ。リラックスできる環境であること、スポーツ施設が1か所に集約していること、オリンピック選手村から15km圏内であることでした。昨年4月にUSOC(アメリカオリンピック委員会)の視察があり、昨年11月13日に覚書の締結をしました」
世田谷区が提案した施設は、世田谷区立大蔵運動場および大蔵第二運動場。ここには、50m温水プール、陸上競技場、体育館をはじめ、テニスコートや野球場、トレーニングルームなどの施設が集約。そして、施設の隣には緑豊かな砧公園がある。一部施設は国際大会基準をクリアしていないものの、選手たちがリラックスしてトレーニングに臨める環境が整っていることが、アメリカチームとっては大きな魅力となったようだ。
玉野さんによると想定される選手団の規模は選手、スタッフを合わせて600名ほど。そのため、キャンプ地として利用を開始するのは臨海地区に作られる選手村がオープンする2020年7月上旬頃と想定している。選手村とキャンプ候補地を実際に車で移動してみたところちょうど30分。この距離なら移動による負担も軽減され、事前キャンプから大会本番を通して同じ施設でトレーニング・調整をできるメリットは計り知れない。
世田谷区にとってのメリットはやはり一流アスリートたちとの交流だ。5歳以下の子どもの人口が増え続けているという同区にとって、区民、とりわけ子どもたちと一流アスリートとの交流は大きな魅力となる。「夢はいくらでも広がります。選手のサイン会や握手会、選手やコーチによるスポーツ教室なども考えられます。また、例えばUSOCのロゴが施設のどこかに残るようなことがあれば、何十年と語り継がれる区のレガシーにもなります」と実現に向けて期待は膨らむ。
神奈川県横浜市と川崎市は世田谷区とは違ったアプローチで、イギリスチームの誘致に成功した。観光都市・横浜は宿泊施設も豊富で、国際大会の基準を満たす横浜国際プールや等々力陸上競技場、さらに慶応大日吉キャンパスのグラウンドや体育館なども利用するなど、施設の充実ぶりが目を引く。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに参加するであろう国と地域は200にも及ぶ。例えば、新鮮・安全で美味しい食材が提供できる、カラダを癒すいい温泉がある、地元の大学と提携して充実した施設を提供できる、自国と気温や風土が似ている、など「おもてなし大国ニッポン」ならではの魅力が地方にはたくさんある。自分の町にオリンピック選手がやってくるのは、決して夢ではない。
(K)
世田谷ライフマガジン
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