わたしがかけ出しだった頃の話。

2nd編集長 高橋 大一

バブルがハジけるちょっと前のこと、ボクはエイ出版社に生え抜きで入ったわけではなく、潜り込むように小さな出版社に入れてもらって社会人生活を始めた。そこから3年は大げさにいえば、まさに修行のような生活。朝8時前に誰よりも早く出社して、まずは編集部全体の掃除をこなし、コーヒーメーカーのスイッチを入れるまでが入社してから当面の任務だった。

それから夜遅くまで仕事を覚え、要領を覚え、手順を覚え、そして仕事関係の誰からも顔を覚えられるように無我夢中。最初の1年などスグに終わってしまう……と思ったら大間違いで、最初の1年こそが社会人になってから1番長かったようにも思う。いや、本当に長かった。同じ大学を卒業し、OLになった友達とメシを食う機会があった時、初任給と時間の使い方の差にガク然としたことは、仕事の要領を覚えたよりも覚えている。

今からすると驚くべきことだけれど、その会社は、当時の社長兼編集長が「お前ら帰っていいぞ」と言うまでは帰宅が許されなかった。だから2年目からは、いかに編集長に電話で、直帰する旨をスムーズに告げられるかも、先輩を見習っての処世術のひとつだった。ただし、今からするとそちらの方が驚くことなのが、その編集長が「帰っていいぞ」と言ってくれた時間は、20年後の自分にとっては「さあこれから仕事本番!」という時間帯だったことは、これから夢と希望をもって弊社を受けようとする皆さんには、内緒の話だ。

スムーズに直帰をしたいほど、サボりたかったわけではない。むしろ逆で、編集する・ページを作る・本をこしらえる、という仕組みがわかってくると、どんどんアンテナを広げたくなっていく。本屋に居座って、既刊書すべてをライバルを見るように舐めまわし、エンターテイメントの競合として映画を見まくり、人こそ財産とうそぶいては、さまざまな方々と酒を交わす。それこそが次の自分の本作りに大切なのだと、空回りしないように&的確に物事を進めようと思いつつも、いつも空回りして遠回りした。

そんな毎日でどうなったか? 会社が変わったり、フリーランスになったり、そしてエイ出版社に入って20年近く経ったけれど、基本的に何も変わってない。「NALU」「CLUB HARLEY」「ランニング・スタイル」「EVEN」、さらに「Lightning」といろんな雑誌に関わってきた。そして今は「2nd」と格闘の日々……。だけれど、いつも反省の日々。いや反省はするけれど後悔はしない処世術には長けたかな。つまり「コレをやりたい」ではなく、「コレをやり残している」が仕事の原動力になっていたりする。つまり今もカケダシ。そんな人間でも本が作れるのはどうしてか? それはアナタが弊社に入った時に酒でも交わしながら話しましょう。アナタもワタシもカケダシの仲間として……。

profile

高橋 大一(タカハシヒロカズ)。1967年生まれ。某スキー雑誌出版社を経て、1995年にロングボードサーフィン誌「NALU」編集部に所属し副編集長に。以降、'98年に「CLUB HARLEY」、'05年に「ランニング・スタイル」、'07年にゴルフ雑誌「EVEN」を編集長として創刊し、山雑誌の「PEAKS」、さらに「Lightning」の編集長を経て、現在「2nd」編集長兼、エイ出版社編集第1局局長。なぜか社内外でのニックネームは“ジャック”。今年は海外行脚に出ることを目論んでいるのは、編集部員にはまだナイショの話

万年筆
  • 2nd編集長 高橋 大一
  • CLUB HARLEY編集長 竹内 淳
  • バイシクルクラブ 編集主査 鈴木喜生
  • バイシクルクラブ 編集長 岩田淳雄
  • RIDERS CLUB 編集長 小川勤
  • BikeJIN 編集長 中村淳一
  • flick! digital編集長 村上琢太
  • ランニング・スタイル編集長 吉田健一
  • 出版開発部編集長 山本道生
  • RC WORLD編集長 佐々木雅啓
  • ランドネ編集長 今坂純也
  • Discover Japan 編集長 杉村貴行
  • トリコガイド編集長 原大智
  • 暮らし上手シリーズ編集長 酒井彩子
  • ei cooking 編集長 河崎秀明
  • CAMERA magazine編集長 清水茂樹
  • CLUTCH Magazine・Lightning 編集長 松島睦
  • CLUTCH Magazine編集主査 小池彰吾
  • EVEN編集長 水上貴夫
  • パームスカフェ店長 村田幹有
  • カリフォルニア工務店 クリエイティブディレクター 岩切剣一郎
  • THE GOLFERS CLUB店長 中川賢一
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