わたしがかけ出しだった頃の話。

RIDERS CLUB編集長 小川勤

「バイクが好き」それは20年前に初めてこの仕事に携わったときから何も変わっていない。当時、僕は21歳。アルバイトでバイク、クルマ、ラジコンの本などを作る編集部に入り、すべての雑誌の手伝い、というか雑用をしていた。写真は今のようにデジタルでなくポジ、誌面のデザインもパソコンで行うのではなく、専用のデザイン用紙に鉛筆を使って書くものだった。ポジを切ったり(スリーブ状態の物から使う写真を切り出す作業)、デザイナーの事務所や印刷所に行くのが主な仕事で、そのとき運んでいたポジやデザイン用紙は、世界に1枚しかない大切な物で、今考えると責任は重大だった。

移動はバイクだっため、都内だけを1日に300㎞以上走ることもあったけれど、バイクに乗れる楽しさのほうが大きくて、苦になったことはなかった……。今は、さまざまな物がデジタル化&システム化され、こういった作業はなくなってきているが、編集部に入って2~3年は、“お使い”が主な役目だった。

その中でも楽しみだったのは、メーカーから広報車を借りてくる仕事だ。なにしろ、イチバン最初に新しいバイクや話題のバイクに乗れるのだから、たまらない。当時は高嶺の花(もちろん今でも)だったBMW、ビモータ、ドゥカティなどは、バイクを目の前にしただけで緊張の連続だったが、それは憧れのバイクに乗れる夢が叶う瞬間でもあった。気に入ったバイクの時は秘かに遠回りして会社に戻ることも度々あった……。

新しいバイクに触れ、その魅力を誌面展開し、読者の皆様に伝えていくという、雑誌を作る仕事の面白さを感じたのは、僕なりにこういった感動を味わい、それを誌面にしていく先輩たちの姿を見てきたからだろう。RIDERS CLUBのロケの手伝いも、雑誌作りの面白さをダイレクトに感じられる瞬間だった。ロケに行けば最新バイクを見て、触れることができ、有名ショップのカスタム車や雑誌でしか見たことがなかったコンストラクターの方に会うことができ、話もできた。雑誌の誌面がそのまま目の前でライブ展開されているシチュエーションは、まさに感動の連続だった。

その新しいモノに触れる感動は、実は今もまったく変わっていない。慣れたり色褪せたりすることなど少しもない。今でも新しいバイクに興奮し、普段は近くで見ることさえできないバイクを取材&撮影する悦びは何にも代え難い達成感がある。

バイクは、冬は寒いし、夏は暑い。タイヤは2つしかないから不安定で、ライダーが支えてやらないと転んでしまうこともある。それでも、クルマよりも自由で、痛快だ。日本の四季を誰よりも早く感じているのはライダーだし、ツーリングやサーキットなど、その楽しみ方は凄くたくさんある。こんなに長い間感動させてくれるバイクだからこそ、この趣味の面白さや奥深さをもっと多くの人に知って欲しい。1人でも多くの人にバイクに乗って欲しい。そして、いまバイクに乗っているライダーには1日も長くバイクに乗り続けてもらいたい。それが僕がRIDERS CLUBを始めとするバイク雑誌を作り続ける理由だ。

profile

小川 勤(オガワツトム)。1974年生まれ。21歳の頃からエイ出版社にアルバイトとして勤務。ラジコン雑誌などを経て、RIDERS CLUB編集部へ。以来、現在にいたるまでバイク雑誌一筋。ツーリングはもちろん、サーキット走行にも積極的でイベントレースなどにも参戦。基本的にスポーツ走行が大好き。現在の愛車はKAWSAKI ZRX1200 DAEG,YAMAHA SR,DUCATI 900SS

万年筆
  • 2nd編集長 高橋 大一
  • CLUB HARLEY編集長 竹内 淳
  • バイシクルクラブ 編集主査 鈴木喜生
  • バイシクルクラブ 編集長 岩田淳雄
  • RIDERS CLUB 編集長 小川勤
  • BikeJIN 編集長 中村淳一
  • flick! digital編集長 村上琢太
  • ランニング・スタイル編集長 吉田健一
  • 出版開発部編集長 山本道生
  • RC WORLD編集長 佐々木雅啓
  • ランドネ編集長 今坂純也
  • Discover Japan 編集長 杉村貴行
  • トリコガイド編集長 原大智
  • 暮らし上手シリーズ編集長 酒井彩子
  • ei cooking 編集長 河崎秀明
  • CAMERA magazine編集長 清水茂樹
  • CLUTCH Magazine・Lightning 編集長 松島睦
  • CLUTCH Magazine編集主査 小池彰吾
  • EVEN編集長 水上貴夫
  • パームスカフェ店長 村田幹有
  • カリフォルニア工務店 クリエイティブディレクター 岩切剣一郎
  • THE GOLFERS CLUB店長 中川賢一
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