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自転車How To

Vol.5 ロードシューズの選び方 その2 ロードバイクシューズの素材と構造

[2007/02/08 UP]

ペダリングは、バイクを動かす大事なエンジンの役目をする。そしてペダリングと最も密接な関係にあるのが専用シューズだ!効率よく、快適に、そしてカッコよく走るためのロードシューズ選び。

photo 講師紹介
なるしまフレンド 神宮店 販売チーフ 二戸康寛さん
選手として活躍する二戸さんのシューズはSIDIのエルゴ1。「カーボンですが、ソールは固すぎないタイプ。幅広もあるので履きやすいですよ」とのこと。お店でアドバイスしてもうおう!
なるしまフレンド 神宮店 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-2-4
TEL:03-3405-9614 http://www.nalsimafrend.jp/

ロードシューズの構造は走り要視の機能に尽きる!

「窮屈じゃないの?」「この穴って水が入らない?」と、これから購入を検討する方はロード用シューズに疑問が多いだろう。どんな素材が使われているのか、そしてどんな構造でできているのか、理解して選べば、その機能も使いこなせるってもの。そこで二戸さんに選ぶコツを伺った。

「ロード用シューズは、通常のスニーカーとはかけ離れた構造をしています。フィット感や操作性、軽量化など、ペダリングのことを一番に追求した高い技術が施されているのです。たとえば、少しでも足にストレスがかからないよう工夫されたアッパーやベルトは、締め方にもそれぞれ特長があります。共通していえることは一部分ではなく、全体のホールド感を得られること。そして、特有なのがソールの造りで、ペダルを踏みこんだ時にあまり歪まないのが特長です。もちろん、長時間のライディングでムレないように、通気孔もたくさん設けられています。素材や構造、その使い心地を判断して、選ぶのもコツですね」とのこと。

ロードバイクシューズの構造   【1】クリート取り付け穴
ビンディングペダルに装着するクリートを取り付けるネジ穴。「雨の日に水が入る」なんて心配はロード乗りには関係ない。ペダリングを効率良くするためにあるからです

【2】ソール
ロード用はソールが硬いのが特長で、素材の種類は大きく分けて「樹脂」、「カーボン」、「カーボン中空」、「カーボン×樹脂(カーボンコンポジット)」に分けられる

【3】かかと
バイクの乗り降りや多少の歩行に、役に立つのがかかと部分。クリートが出ていてシューズ前方を使うと歩きにくいため、つま先を上げてかかと重心で歩く場合もある

【4】ベルト
このベルト部分がホールド感の要! 自分の足に合わせて調節が可能なので、簡単に適度なホールド感が得られるのが特長である。

【5】通気孔
夏場は特に重要なベンチレーション(通気孔)。風通しを良くして、ライディングの際にシューズの中がムレてしまうのを防ぐ。冬はシューズカバーで覆って塞ぐことも

【6】ラチェット式バックル
足首を固定する大事な部分。ココのフィット感次第でライディングのよし悪しが変わるほど。ラチェットだと、窮屈すぎる人もいるので自分にあったタイプを選ぼう!
ロードバイクシューズの解体図
見た目部分の構造を理解したところで、次はもう少し詳しく分解していこう。シューズを形成する造りを知るためにも、構成するパーツごとに解説。大きく分けると、アッパー、ソール、トレッドの3つになる(ロード専用はトレッドを省く)。それぞれの役目、どんな素材が主流なのかを探る! ※取材協力:パールイズミ、山と渓谷社
アッパー   ソール   トレッド
シューズの上側のこと。素材はナイロンメッシュや合成レザー、本革などの複合だ。形や色はブランドによって様々あり、アッパーによりホールド感が良いかどうか、自分の足に合っているかが決まる   硬くて丈夫な上、激しいペダリングでも折れない。主にカーボンや樹脂が多く、カーボンは剛性が非常に高いため上級者に人気がある。両方のイイ所取りの“カーボン×樹脂”もある   MTB用のシューズについている滑り止めの部分。素材はゴム製で、スパイクに近いものからフラットでソールを覆うものまで種類が幅広いのが特長だ。ロードバイク用には付いていない
アッパーの素材を知る
アッパーを形成する素材は3種類あり、その組み合わせにより、ペダリング時の快適性が違う。「合成レザー」、「本革」、「ナイロンメッシュ」がその代表格で、レース志向か否かや、季節、ウエアとの相性でも選び方が変わる。ウエアは数枚持っても、シューズは1つという人も少なくない。それだけ、選び方がポイントになってくるのだ。

進化する合皮レザー   昔ながらの味わいがある本革   軽量&通気性のナイロンメッシュ
いまやワールドカップ公認のサッカーボールもこの素材だ。革は濡れると水分を含んで重くなるので、合皮が売れる理由もわかる。バリエーションも豊 富で、水滴だけでなく汚れてもサッと軽く拭けば落ちる。色も着けやすく、シューズで最も定番な素材である   最近本革が減りつつあるが、フランスブランド“カルナック”など、足によく馴染むカンガルー革を使ったシューズもある。本革は履いているうちにだんだん自分の足の形に馴染んできて、履きこむほどに味がでる。ファンにとってはタマラナイ一足である   ナイロンメッシュは見てのとおり通気性がよく、夏場のツーリングに最適な素材だ。発汗性も抜群で、足の中がムレることなく快適に走れる。ただ、通気性が良い分、雨の日や冬場の走行時にはシューズカバーが必要だ、合成レザーとの組み合わせが主流である
3種類のホールド感を楽しむ
好みが大きく分かれるのが、足首のベルト部分。いくらラチェット式が確実に締まるとはいえ、ツール・ド・フランスのトップライダー群には、ナチュラルな装着感を重視するベルクロ派も多いのだ。
ダイヤル&ワイヤー   ラチェット式バックル   ベルクロ・ストラップ
ダイヤル&ワイヤー   ラチェット式バックル   ベルクロ・ストラップ
ダイヤルでアッパーに施されたナイロン線を締めこむタイプ。ダイヤル式ならバックルよりも微調整がきき、甲全体を包み込むようにカバーする   人気があるラチェット式バックルは、ダイヤル式とまではいかないが比較的細かい調整ができる。固定力が強いため、走行中にズレることはない   一般的なベルクロ・ストラップは、簡単に締め付けることができ、締め具合や角度を個人の好みで微調節するのが可能。ソフトなフィット感も◎

詳細はバイシクルクラブ 2006年7月号(2006年6月20日発売)をご覧ください

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